2016年のよかった15の本と映画とドラマの話

年の瀬ですね。
今回は今年読んでよかった本と観てよかった映画・ドラマの話をします。
本は漫画や小説や自己啓発本すべてあわせて91冊。
映画は映画館以外で観たものも含めて31本。
ドラマは過去作含めて10本。
アニメは『響け!ユーフォニアム1』『響け!ユーフォニアム2』『ユーリ!!! on ICE』くらいしか観なかった。ユーフォニアムはいいぞ。
演劇は劇団aunしか観なかった、コンサートは嵐のみ。

オタクは何かにつけて自分ランキングや自分リストをつけたがる生き物なので、私も一年のまとめということでやります。
ちなみに2015年のまとめはこれです。

2016年1月9日 2015年を振り返ってみよう


ちなみに今年の途中まではtumblrで日記書いてましたね、はてなブログに移行した2016年でした。

 

書籍編

君たちに明日はない垣根涼介

就職活動時期前後に読んでいたシリーズ作品で全部で4作品あります。
これから毎日働かなければならない、それ以前に自分の行きたい会社から内定を勝ち取らなければならない、大学を出て新卒で会社に入るなんてそんなレールに敷かれた人生でいいのか、どこの業界に行きたいのか、そういうプレッシャーや迷いの中で壊れそうになりながらも読んでいた記憶があります。

主人公は、どこかの会社がリストラをしなければいけないという状況に借り出されます。リストラ対象者を面接し、「いま退職をすればこれだけお金がもらえますし、あなたのキャリアを考えればほかでも十分やっていけるのだから転職をおすすめしますよ」みたいなことを説明する、そして対象者が退職するのか、そのまま会社に残って働くのか、人生の岐路に立たされた人たちを描いた作品です。

 

今の世の中、リスクはどこにでも転がっている。いい学校を出て新卒で入った企業でも、一生勤められる保証なんてどこにもない。今の仕事をしていると、なおさらそう思う。不安なのは分かる。でも、ぜんぶが全部安全なチョイスなんてありえない。だったらある程度リスクは承知で、より納得のいく環境を選ぶしかない

 

 

面接室の前まできて、きっかり一時になるまでノックをためらっていた女性。いい女だ、と思う。その律儀さが、とてもいい。だから仕事も出来る。結局仕事とは、人間性なのだ。

 

 

あなたがもしリストラ対象者として面接を受けなければならないとき、どうするでしょうか。さっさと今の会社に見切りをつけて転職するか、すでに結婚している共働き状態の人は専業主婦(主夫)になるか、起業するか、それともこれから給与が下がってボーナスも雀の涙ほどしか出ないときでも情熱を持って仕事に打ち込めますか。

世の中には色んな働き方をしている人がいて、色んな考えを持つ、色んな世代の人たちがいるから諍いが起きるし、昔は売れていた商品がもう全然売れなくてどうしようもないという状況が往々にしてある。働く人たちに読んでもらって感想を聞きたい本です。

 

 

 『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』吉田尚記

私は喋るのが上手ではありません。なので人との会話も得意ではありません。
身の回りに話すのが上手な人、いつも面白い話をして笑わせてくれる人がいて、その人たちと一緒にいるととても楽しい気持ちになれる一方で自分のコンプレックスを爪楊枝で刺されているような、そんな気持ちにもなりました。

会話は個人戦ではなく団体戦だから、共にゴールに向かったほうがいい、相手が下手なパスを打ってきたとしても修正可能なら自分で受け止めてあげたほうがいい。

自分のことに興味を持って、いろいろと訊いてくれる人。驚いたり笑ったり、話が転がってタイクツしない人。そういう人とコミュニケーションをとっていると人は確実に楽になれるんですね。

 

話が上手な人は相手を主人公に話を展開する、下手な人は自分を主人公に話をする、というようなことを聞いたことがあるけれども、体感的にもその通りで、この人に話を聞いてもらいたい!相談したい!ってことが続くと人の縁は途切れないような気がします。私は人と会うと回復するタイプの人間です。誰かを楽にする手伝いをすることで人と会うことができるのなら相手に興味を持って、それと、会話は別に頑張らなきゃいけないことじゃないんだなと思えた一冊でした。去年から今年にかけて私と接してくれた、私を楽にしてくれた人のことを思い出してなぜか大号泣しながら読んだ記憶があります。

 

 

 『陸王池井戸潤

住む街の図書館、隣町の図書館など色々調べたけどどこも予約300件待ちとかでどんだけ池井戸潤は読まれている作家なんだ…と驚いた本。なんとか大学の図書館で借りて、2週間後の返却日までにこの分厚い600ページ近い本を読まなければと結構頑張ったら1週間くらいで読めてしまった話。それだけ読者を引き込む作品だったし、やっぱ予約300件なだけあるな!さすが池井戸潤だな!という感じの作品でした。

去年の冬~今年の頭あたりに『下町ロケット』がドラマで放送されており、そこで初めて池井戸潤作品に触れ、原作2冊と『空飛ぶタイヤ』と『民王』を読み、そして今回の『陸王』でした。

あらすじは足袋の老舗がスポーツシューズを作る話。シューズを作るにも金がかかるし銀行がお金を貸してくれるのか問題が出てきたり(池井戸潤作品はいつも銀行がお金を貸してくれない)、利益しか考えないで選手を無碍に扱う人が出てきたり、そこらへんはいつもの池井戸潤作品だけれども、なんだか読後感がいつもと違ったような気がする。

三浦しをんの『風が強く吹いている』やあさのあつこの『ランナー』シリーズが好きなので、走りのシーンは本当に感動した。孤独のなかひたむきに走る人間の様子は涙なしには見られない。会社とか成績とかお金とかそういうのを全部かなぐり捨てて、結局人と人とを繋ぐのは「あなたに喜んでもらいたいから、あなたのために全力を尽くします」という気持ちなんだと思います。そういう気持ちに触れて大事なのはやっぱりお金じゃなかったなと、そういうことを私たちは何度も忘れてしまうから、何度も何度も同じような話をおとぎ話のように繰り返してもらわないと私は困る。

 

 

 

 『ふがいない僕は空を見た窪美澄

最近ハマってる作家、窪美澄
『よるのふくらみ』や『晴天の迷いクジラ』なども読んでますが、これはその中でも人に勧めたい作品でした。
窪美澄の小説は、兄弟で同じ女の子を好きになっちゃって名実ともに穴兄弟になってしまってその噂を商店街中にばらまかれ苦悩する話とか、パチスロ依存で離婚したシングルマザーの話とか、ブスがストーカーと結婚したらセックスレスになって男子高校生ひっかけてコスプレ台本付きセックスをしたりするんですけど、話にリアリティがありすぎてちょっともうびっくりする。

今読んでる『水やりはいつも深夜だけど』は結婚と出産をすると家族のメインが子どもになってしまうこともあってセックスレスになる、「ときめきがなくなる」と書いてあって、浮気に走ろうとする男の人とかも出てくるんですけど、そういうありそうな大人の小説は窪美澄を読んでおけば間違いないです。家庭環境で悩んでいる人、悩んでいた人とかに勧めたい一冊。

 

 

 『ガール』奥田英朗

「そうですよ。育児を一切理由にしない平井さんは、立派なんですよ」
孝子は曖昧に笑って返したものの、同性としてちゃんとわかっていた。女は、育児を持ち出せば周囲がひれ伏すことを知っている。独身時代、そういういやな女をたくさん見てきた。だから自分はそういう真似をしたくない。


奥田英朗は女性を描くのがとても上手だと思う。既婚者・子持ちで働いている女の人と、自分にしか時間もお金もかける相手がいない独身女性では考え方が違うこと、よく分かっている。結婚して子どももいるけど独身女性の肌つやのほうが良い、なぜならあの子はエステに行ってネイルもしてもらっている、化粧だってブランド品だろうな。でもこちとら家に帰ればかわいい子どもがいるんじゃ!という。

短編集なので読みやすいし、ライトに働くことってなんだっけ、を教えてくれる作品。文体にクセがないのも良いと思う。30代のキャリアウーマンのお話。

 

 

映画編

今年は『シン・ゴジラ』や『君の名は。』など映画のヒット作が多かったですね。
個人的にはアクションムービーをよく観ました。『ボーン』シリーズとか、『アウトロー』シリーズとか。完全に人に勧められて新作を映画館で楽しむための予習として頑張って観てたんですけど、結構楽しかった。映画館で観る機会も多かった気がします。4DXデビューもしました。

ズートピア』リッチ・ムーアほか

 これはもう随分とドハマりしたからか今更語ることがないといっちゃあなんだけども、やっぱりディズニーは隙のない作品を作るなと思いました。
肉食動物と草食動物、強いものと弱いものという分け方や差別をせず多様性を認めていこうというポリコレに配慮された作品。

劇中で、ハエがたかってるキャラクターに対して、ちゃんと接してるというか、「あなたその髪早く洗ったほうがいいですよ」とは言わないところ、ナマケモノに対して「早くしてよ」という言い方じゃなくて「私たちすごく急いでるの」っていうその相手を否定しない感じが良かった。

あとニックが超超かっこいい。最高ニック。早く日本のディズニーランドにも来てほしい。

 

 

『ローグ・ワン』ギャレス・エドワーズ

 今までスター・ウォーズシリーズを観たことがなく、付け焼刃的にエピソード4561を観て、SWファンと公開初日に観にいきました。
スター・ウォーズ エピソード4とエピソード3の間に時間軸があるということで、ディズニーランドのスターツアーズと全く時間軸が同じだし早くアトラクションリニューアルいないかなと思っている次第です。

このタイミングでキャリー・フィッシャーが亡くなってしまったことはとても悲しくて、色々言いたいことはあるんだけど、うまくまとまらなりませんでした。

それで、教科書には載ってない行間を読むような物語が『ローグ・ワン』だったわけで、「そういう話があったんだよ実はさ」という知られざる過去を観客に託してくれる作品でした。

フォースという万物を操るエネルギー体を、当然のことながら観客は使えないわけだけれども、『ローグ・ワン』はその解釈をすごく拡大解釈していた。フォースを使えなくてもフォースを信じていい、宗教や道しるべとして自分の精神的な支えとしてフォースと共に在れと口にしていいんだということを提示してくれた作品でした。

たくさん死者を出した戦いの中でもその死には確かに意味があったこと、顔も見たことがない、よく知りもしない人が果たした功績のおかげで救われた人がいること、エピソード3とエピソード4を繋ぐ橋渡し的存在がいることを今作で知ることができるからこそ、他のスター・ウォーズもより楽しめるようになるんだと思います。

アクションはもう超CGでこれこそ4DXで観たら2時間ずっとスターツアーズに乗ってる気分になれて最高なんじゃないかなと思うので時間があったら行きたい。

 

 

 

 『ジャック・リーチャー』エドワード・ズウィック

 なんかもう疲れてきた。この記事読む人ってどれくらいいるのか知りませんけど今午前4時なのでだいぶダレてきました。

アウトロー』を大して楽しめなかった人間なので心配していたけれども、今作は大丈夫だった。同じ釜の飯を食って行動を共にする男と女と少女がいれば擬似家族ができてしまう、そういう話に俺は弱い。

シリアスな話ながらも笑うポイントが結構あるのも観やすくて良い。
真面目な顔してとぼけたことを言ってる人がたくさんいた(ような気がする)

ジャック・リーチャーと行動を共にする女の人が「私が女だから子守をしろっていうの?」と言い放つシーンがある一方で、「殺された部下にも人生があった、家庭があった、まだ小さい子どもがいる部下も、妊娠中の妻を持つ部下も、殺されたのよ」と人間の良心に訴えてくるシーン、非常に女性的な仕事だと思ったし、彼女は女として扱われることを嫌いながらも女としての武器をちゃんと利用してるのが個人的にグッとくるポイントでした。

 

 

 

 『007 スペクター』サム・メンデス

ダニエル・クレイグが超かっこいい!ボンドかっこいい!ボンドガールいやらしい!スーツが超かっこいい!ドレスがめっちゃきれい!街並みもすごいきれい!と、『ボーン』シリーズを観て勢いづいてついに007を観るようになりました。圧倒的成長。

お金のかかったものがバンバン壊れたり汚れていく様を観るのがすごい楽しい。
ボンドガールのレア・セドゥが最高。あとサブで出てくるQことベン・ウィショーが良い。

ダニエル・クレイグ版の007は毎回「このオープニングは何なんだろうか…?」と思ってしまう。あの音楽とあの映像を観てどうすればいいのか分からなくて手持ち無沙汰になる。

あと007シリーズ全部観たい!ってツイートしたら「苦行ですよ」とリプライが来て笑ってしまったことを思い出す。

 

 

 『ベイマックス』ドン・ホール

このまえテレビで放送されていたので観た。
放映当時すごい流行ってたけど、流行ものを避ける傾向があるので映画館では観なかった作品で、今回テレビで観てまあまあ後悔した。

頭の良い主人公が金儲けのためだけに自分の頭脳を使ってたのが最終的には誰かを助ける方向にシフトするところからしてまず良い。

ベイマックス、CMで見る限りその正体が何なのか全く分からなかったんですけどケアロボットでした。身体的にも精神的にも人をケアするロボット。SFですね。ベイマックス、お前みたいな存在がいてほしい。私はベイマックスがそばにいないから毎日布団から抜け出せないんだと思います。

SFではありがちな(ように思える)、高度な技術やロボットを人間が作ってしまうと、いつか人間が手につけられないくらい暴走をしてしまうというのがツキモノですが、マスターのケアのためなら人でも殺す、手段を選ばない形で ときには他の誰かを犠牲にしながらでも大切な人をケアするというのは正義なのかどうなのかという話もあり、話としてはシンプルなことを2時間かけてやっていたと思います。

 

 

ドラマ編

ランチの女王大森美香ほか

竹内結子は超最高というのが分かるドラマ。
人が食べ物をおいしそうに食べているというだけで観ている人たちが幸せになる。
音楽も脚本もキャストも全部最高。

 

 

『偽装の夫婦』遊川和彦

家庭環境に問題がある人間なので、家庭環境をテーマにしたドラマを見ると死ぬほど泣いてしまうんだけれども、『偽装の夫婦』は『逃げ恥』とはまた別の切り口で家族とは何かを問い直してくれる作品だった。この作品も多様性を描いていて、ゲイ、レズ、シングルマザー、近親相姦、そして契約結婚と、色々出てくる。

 

家族は選べないけど、友達は選べるのよ

 

私たちには違いよりも共通点がいっぱいあるの。些細な違いにこだわって相手を責めるようなこと、もうやめたら?


わりとストレートな台詞で観ている側に偏見で人を殴るのをやめたらどうなんだよ、他人同士で幸せ比べをしたって何の意味もないんだよ、と訴えてくれる作品。

 

 

 

重版出来!野木亜紀子

出版業界で頑張る人たちのお話。
ドラマというよりは演劇のようで、だからこそ毎回毎回生の大声を聞くごとに号泣してしまうのでした。

日々良いことを積み重ねていけばいつか自分が望むものが得られる。
全体的に運とか奇跡が舞い込んできて成功する話じゃなくて、ほんの些細な日ごろの行いがめぐりめぐって結果として奇跡を生んだっていう話なので、日ごろの行いがよくない人はいつか失敗して挫折を味わうし、挫折を経験してもなお行動し続ける地道な作業の末に成功が待っているという、登場人物の行動と結果に因果関係が視聴者にも理解できる形で提示されてるの分かりやすくてよかったです。

出版業界、漫画でデビューできる人がほんの人握りであること、漫画家としてやっていきたいと願って何年も何十年も時間を費やしている人がいること、どんなにたくさんの時間を費やしてもその努力が必ずしも実るわけではないこと、凡人は天才にはなれないこと、そういうことを目の当たりにするドラマでした。

 

 

逃げるは恥だが役に立つ野木亜紀子

もれなく私もハマっていたクチ。無限に星野源の『恋』を聞いたクールでした。

 このドラマの何が良かったって、人間の生き方の多様性を差別なく描いていたところですね。男が外で働き、女が家で家事をすることの在り方について、それを当然とせず見直していくところに感動しました。
メインの2人だけでなく、年の差カップル、同性愛、シングルマザーなど色々な立場の人が出てくることで、どの人にも感情移入できるがゆえに、つらくなる部分も多くありました。

以前、大学のゼミで「家事に賃金を支払うべきか否か」という議論をしたことがありますが、そういうこともドラマで映像にしてもらうとメリットとデメリットが分かって良いなという新しい体験がありました。

 

 

『家売るオンナ』大石静

 人の生き方の多様性を認めた上で、既存の策ではない、新しい策で仕事をする、誰かの生きるお手伝いをする、そのための部屋探しをするという働く女の人の話。

 
以上のように、ニートは外に出て働かなければならない!という風潮というか

プレッシャーを切り捨てて、ニートニートのままで生きていく方法はないのかと模索していく回で私は心を打たれてしまいました。

ビジネスと人の心を天秤にかけるのではなくて どちらも尊重しながら丁寧に 働くとはどういうことか 自分の仕事は何かを考え直す話であり、自分の狭い価値観のせいで人を振り回すな、加えて仕事でも成果を出すためにはどうしたらいいのかという話。

 

 

 

 終わりに

 今年は多様性がテーマの作品を目にする機会が多かったように思います。
単なるラブストーリーやお仕事頑張る系ではなく、会社で働いて家では家事をする、友達とご飯をしたり好きな人とデートをする、そういった日々の生活の中でどうやって折り合いをつけて生きていくのか、世の中には意外と生きることに関して大変な人がいるんだけれども、そういうときあなただったらどうアクションを起こしますかという問題提起の、だけどそれが強烈ではない感じのものが多かった気がする。私が好んで見聞きしてるだけかもしれないけれど。

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なのでよかったら見てください。
長文読んでいただきありがとうございました。