『glee』を観てる。
受験とか就職活動とか、どんな本を読もうとか、どんな映画を観ようかとか、ご飯は何を食べようかとか、誰もが人生においてこれまで自分で選択してきたものがたくさんあるけど、選択をした時点ではその結果が正解なのか間違いなのか誰にも分からない。
どうしても止められない衝動に駆られて夜中にアイスやお菓子を食べる生活を続けた結果2kg太った。昨日思い立って運動をしまくったら2kg痩せた。行き当たりばったりで生きているので自分で選択回数を増やしがちな人生ではある。
それでも結局は自分で選択したものを、自分で正解にしていくしかないと私は思ってる。
『glee』も例外なくそんな人生を生きている人たちがいて、登場人物それぞれに正義があり、そのせいで諍いもまあまあな頻度で起こっている。本音を言ってしまえばストーリーはお粗末なものもあると思う。それでも観てしまうのは、このストーリーの不十分さ、完璧ではないところを補完するようにして視聴者側が考えなければいけないからだと思う。
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Seoson 2の冒頭でクインとサンタナが喧嘩をするシーンがある。
「私が豊胸手術したことチクったでしょ!」
「事実じゃない!」
「アンタみたいに妊娠しちゃうよりはマシよ!私は目立ちたいだけなの!」
クインにもサンタナにも自分の正義がある。
自分の選択した人生や、場当たり的にそうなってしまった人生がどうであれ、いま自分で下した決断というものにはちゃんと理由付けをして生きている。
クインにとってはチアリーディング部に入るということは自分で選択したことだろうし、Seoson 1での妊娠のエピソードは自分の選択ではない、ただ妊娠の仕組みを知らなかったというだけの話。
サンタナにとっては豊胸手術は自分で選択をしたことであり、手当たり次第に男とセックスをすることはそうすることで彼女が束の間の救済を獲得することができるから、これも結局自分で選択していること、選択せざるを得ないほど自分では無自覚に、彼女が苦しんでいるように私には見える。
一方で、「喧嘩はやめて(Don't stop violence.)」と喧嘩の仲裁に入るブリトニーは、これまで「gleeでブリトニーの曲をやるのはいやだ、私の名前はブリトニー・S・ピアースだから」と物事の好き嫌いはあるけど、あまり自分の正義とか信念があるようには見えない、S2の今のところは。
そしてそれ以前の問題として常識というものが備わっていない、言われたことを言われたようにやるだけ、だから流されて生きているように見えるけど、その実、他の人であったら常識にとらわれて足がすくむような状況においてもブリトニーは難しい顔ひとつせず簡単にそれをやってのける。だから悪気なく選曲リストを他校に渡すようなことができるし、チア部の顧問であるスーの言いなりになって「ビーストに痴漢された」と平気でウソをつくことができる。
そのあと周りがどうなるかなど全く考えていない、そのあと自分がどういう目に遭うかさえも考えていない。
ここがブリトニーの良いところだと私は思うし、この生き方が今後サンタナを救済するんだと本気で思っている。
シーズン1でフィンが思うように手に入らなくて荒れるカートのことを見て「アンタのことゲイだと認識してたけど さっきの歌で興味出てきた よかったらヤろうよ」みたいなことを真顔で言う、そういうブリトニーのところにサンタナはきっと救われるに違いない
— 赤埜よなか (@_ynk) 2017年11月8日
マジで頭が悪すぎるけど頭が悪すぎるがゆえの世間体なんかどうでもいい、周りの目なんかどうでもいい、私がしたいと思ったから言葉にしたそれの何が悪いんだみたいな芯の強さが、しかもそれに関してブリトニー本人は無自覚なところに泣けてしまうね その強さは他人を救済するんだよ
— 赤埜よなか (@_ynk) 2017年11月8日
異常に自己肯定感の低いサンタナには自分のことを肯定してくれる人が必要だっただけ セックスを自己承認の代わりにしなくとも生きていけるようになりたいと願いながらも 足元がぐらついた瞬間男に逃げるような生き方をしてきたけど それを見てくれる人がちゃんといたっていうのは幸福なことよね
— 赤埜よなか (@_ynk) 2017年11月9日
S1を観てる途中なのに今後ブリトニーとサンタナが活躍するだろうと予期してここまで勝手に妄想できるのはさすが元腐女子、元声優オタクのなせる業という感じがしてさすがに笑っている。S2観はじめてこのツイートがあながち間違いじゃないんだろうことはなんとなくツイッターの人とかを見てても分かるので、ひそかにガッツポーズをしています。
さて、何事においても当事者意識のないブリトニーはgleeのオーディションで目の前にめちゃくちゃ歌のうまい女の子が現れても表情ひとつ変えずただ眺めている、傍観している。彼女はいつも傍観者ではあるけれど、傍観して得られたものを言語化するのがとても下手、自分がインプットしたものをアウトプットして、次の誰かのインプットに繋げることがなかなかできない。
とはいえS1でチアリーディング部が大会で優勝して、スーがテレビにインタビューをされている後ろで、サンタナとぴょんぴょん飛び跳ねてハイタッチしている様子は本当に嬉しく感じているんだろうというのが伝わってくる。
ただ、優勝した事実そのものが嬉しいのか、優勝して嬉しがっている周りを見て嬉しくなっているのか、そこまでは分からない。そこまでは描かれていない。だから冒頭でも書いたように、視聴者側が考えなければならない、想像しなければならない。
「このときのブリトニーは何が嬉しくてあんな笑顔を浮かべていたのだろうか」と。
S1の最終回、大会で負けてメンバー全員が落ち込む中、全員でウィルに向かって歌うシーン、あのときサンタナは本当に悲しくて泣いているように見えるけど、ブリトニーはそんな様子のサンタナを見て悲しい顔をしているように見える。
ブリトニーにとって事実かどうかは大して重要なことではなく、目の前の大切な人がどう感じているかだけが重要で、最優先事項で、それで生きているような女の子だと思う。
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「一人でデュエットなんてオナニーみたい」
サンタナがS2 4話でカートに言い放つシーン。
「他人という器を使ってオナニーしてんのはお前も同じだろ」という気持ちで見ていました。
誰かとするセックスが一人のオナニーよりも優れてるなんて、そんなことは決して言えないし、誰かとのセックスが一人でするときより虚しいときだってあるだろうに、きっとすごく怖いんだと思う、一人になることが、誰かにウソでもいいから、愛情なんてなくていいからキスをされることで、抱きしめられることでやっと自分の足で立っているような状況で、恐怖を抱えながらも堂々と一人で歌うカートの姿を見るのがすごくつらいんだろうな、サンタナ。
何話か忘れたけど、カートのお父さんが入院して、みんなで神様を信じるか信じないかみたいな話をしている回があって、誰もが救済を求めている中、その救済を誰に求めているか、神様に求めるのか、実在する彼女に求めるのか、結局それだけの違いなんだろうと思う。みんな残らず救済されて次の試練に立ち向かってほしい。
「神様は信じないでいいけど、でも扉は閉ざさないで、すばらしい世界があるかも
(I know you're not really spiritual or whatever…,
but, I feel like you're closing yourself to a world of experiences that might surprise you.)」
メルセデスがカートにそう話しかけるこの台詞をまんまサンタナに言いたくて泣きそうになったのが本日のハイライトでした。
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ここでツイッターで話すとgleeファン以外のフォロワーがうるせえよって言ってくるかもしれなくて怖くて言えなかったS2のgood pointを供養します。
<1話>
・ウィルとスーがビースト相手にピザを何十枚と注文する悪巧みをしたときの二人の表情が超最高にイイ
・自然の摂理に反してでも目立ちたいという理由で豊胸手術をするサンタナが可愛い
・ビースト痴漢冤罪案件。ブリトニーの「むしろ私が触りたい」発言
・リアルに『ドリームガールズ』のオーディションを受けたアンバー・ライリーがいる目の前でオーディションの曲として『ドリームガールズ』の曲を選曲するセンス
・オーディション時、静かに人の歌を聞くブリトニー
サンタナはわりとS1のときからニコニコしながら人の曲を聞いているけど、ブリトニーはずっと真顔で言語化できない感情をゆっくり整理しているように見える。曲が終わったあと腕をぐるぐる回して「よかったよ~!」って伝えているのが可愛い
<2話>(ブリタナお当番回につき神回)
・ブリトニー「むかし拉致された宇宙船によく似てる」
・ブリトニー「歯を抜かないで。子どものお尻みたいな顔になる」
・ブリトニー「歯ブラシは青がいい」
<4話>
・ブリトニー「優しいキスがすき」
サンタナ「私はヤりたいの」
ブリトニー「私はただ…」
サンタナ「ぬくもりを感じたいだけ」
・食事券もらえると知ってめちゃくちゃやる気を出すサンタナ。
ご飯食べるのが好きなんだなと感じるシーンで個人的にめちゃくちゃ好き。
食事とセックスが好きな女の子超健全児童かよ。
・ブリトニー「あなたのことロボットだと思ってたの」←可愛い
・自分がメルセデスとデュエット組むのはいいけどブリトニーが他の子とデュエット組もうとするのは許せないサンタナ可愛い
・ブリトニー「でもあなたと行きたい。『わんわん物語』みたいな長いパスタを注文する」可愛すぎて頭を殴打されて軽く意識飛びかけた。
いつにも増して気持ちの悪いブログですね、おわり。