結婚した

 

8月に結婚しました。

 

 

過去の記事にも何度か登場している20歳年上の厩務員のひとと結婚しました。

 

aknynk.hatenablog.com

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彼と出会ったきっかけは、私が大学生のころに利用していた出会い系サイトだった。もともと恋愛目的ではなく、身体だけの関係として月に数回会う程度の関係だった。でも、私が大学を卒業して就職したときには彼からの連絡はぱったりと途絶えた。カカオトークで何度メッセージを送っても既読にならない状態が続いて、念のためと教えてもらっていた電話番号にかけても繋がらない。その電話番号をLINEで検索し友達登録しメッセージを送ってもやはり既読にはならない。もう二度と会えないのだろうなと思っていた。

 

 

私は、いきなり人との縁が切れるのがものすごく苦手で、
もう会えないとしても、相手の連絡先が分かっているという状態、何かあったときには連絡が取れる状態を与えられるだけで安心するタイプの人間です。
連絡が取れなくなると必死に相手のSNSのアカウントを探して、勝手にストーカーして「私と会えなくても、あなたがこの世界のどこかで生きている」と分かるととても安心する。

 

 

そんな私なので、彼ともいきなり連絡が途絶えたのが苦しくて、年に一度だけ絵文字を送ってみたり、つぶやきを送ったりしていた。

既読にならなくても、縁が続いていることを信じていたかった。

別に恋愛対象として見ていたわけではない、セフレのひとりがいなくなったことが寂しくて執着していたわけでもない。ただ、大学生時代の私を気にかけてくれるひとといきなり会えなくなってしまったのがつらかった。

 

セフレといえどもセックスをするだけじゃない。会うまでの連絡のやりとりや、会ってから食事をしたりホテルに行く前にコンビニで食料を買い込むさま、ホテルの部屋の選び方、吸っている煙草の銘柄、車に飾っているうさぎのストラップ、車でかける音楽のセンス、仕事のこと、あらゆるところで相手の人間性が見える。私とは違う人間だなと思い、私と彼との違いについて話すこと、それでも同じお笑いの動画を見て笑ったりすること、それらを含めて関係性が成り立っていた。

 

そのうち彼と連絡が取れなくなって3年が経ち、私が元恋人に盛大にフラれて、*1 毎日泣いているような2019年12月、そのころ私は死んだ目で毎日PairsとWithとタップルをやっていたわけだけれど、彼から3年ぶりの連絡がいきなり届いた。死んだと思っていたカカオトークに「久しぶりです。連絡途切れて申し訳なかったね」とメッセージが来ていた。

色々話しているうちに一度食事でもしようということになり、会ったときに言われたのは以下のようなことだった。

「おれが連絡を取らなくなってもおまえが絵文字とかつぶやきをときどき送ってくるのを見てたから、3年ぶりにおれからメッセージを送ったら返信してくれるかもと思った」

 

過去の私よくやったねえ。人との縁が途切れないで今また彼と会えたことがとても嬉しかった。既読がつかなくとも見てくれていたこと、私を覚えていてくれたことが嬉しかった。再会した当初は彼も精神的に落ち込んでいて、ふたりで傷を舐め合うように五反田の暗い喫茶店で夜遅くまで話し込んだ。12月の五反田。彼はスーツにコートを羽織り、よそ行きの服装だった。彼にとっての大事なときの服装。キメの服。

 

彼に自販機でホットミルクティーをおごってもらって店の外のベンチで飲んだ。隣で彼は煙草を吸っていた。喫茶店の前に行ったご飯屋さんでは私がおごった。もう大学生ではなく、立派な社会人だなと思った。大学生のときはいつも彼におごってもらっていたのだ、ご飯も旅館もホテルも何もかも。

 

ご飯屋さんでメニューを見ているときに、「だし巻き卵が食べたい!」と言ったら「おれも同じこと思ってた」と言われ、おいしいものを食べるのが好きになったり映画を観るのが好きになったきっかけをくれたのは彼であったことを思い出す。なので、別に運命とか趣味が合うとかそういうことじゃなくて、彼が教えてくれたものが今も私の中に根付いているというだけの話だった。時計じかけのオレンジブレードランナーAKIRAを始めとした映画が好きで、温泉が好きで、カレーやラーメン、うなぎが好きな彼が教えてくれたもの、連れて行ってくれたところ。実家に居場所がない大学生の私にとっての救済。

 

再会したその日の夜に結婚の話になって、「結婚するのであれば半年間くらいお試し期間として同棲できるか確認したい」と私が申し出た。2020年2月にはもう同棲がスタートした。家事や掃除のこと、些細な言い方といったありきたりすぎることで悩んだり喧嘩をして口を聞かない日もあれば、一緒に映画を観て眠る夜もある。彼のやさしさに甘えてわがままになっていく自分がおさえられないときも、好きすぎて泣く日もある。「一緒にいられるだけで嬉しい」という感覚は今までになかったものだし、デートの日程調整などせずに家で好きなひとに会えるラクさも精神に安らぎをもたらしてくれる。

 

半年間のお試し期間を経て、彼と結婚することを選択した。喧嘩をしたときも、お互いの気持ちを言葉にすることで、擦り合わせをして次に繋げることができたから。これが一番の理由。

これまで付き合ってきたひととは喧嘩をしなかった。イヤだと思うことがあっても言えなかったし、コップの水がこぼれてつい不満を口に出した途端にそのひととの交際は終了した。

 

 

彼は20歳年上なので、おそらく彼のほうが先に死ぬでしょう。

それでも今私は彼と生活ができてすごく幸せ。

親に紹介したときもかなり驚かれたけど、別にどうでもいい。

自分の人生なので好きなように生きていく。

 

お題「ささやかな幸せ」