言い訳を探してる。誰かの言葉で、誰かの責任にできるように、先回りして予測して、もしこんなことを言われたら、どんなふうに答えれば逃げられるかを考えながら生きてる。
自分の言葉を探しもせずに原因も結果も全て周囲に求めてる。
「必然的にこうなってしまったんです、だから私は悪くないんです」と言って許されたいだけ。面と向かって許してもらえれば、面と向かって教育してくれなかったことを、私は許せますよと、交換条件を示してる。
どんなに失敗しても笑顔で踊ってるだけで「まあいいか」と許される人を心底うらやましいと思ってる。笑ってるだけで隣にいる誰かに手を握られて「大丈夫だよ」と言われているような気がする。本人もそれでいいと思ってるように見える。なめやがって。
努力してもしてもしてもしても誰かに見てもらえなければ、それは、何か、成果として、評価としてなかったことにされてしまう。
評価してもらえるよう誰かに見てもらえるための努力が、メインの努力とは別のところで生まれている。もとから、何の努力もせず人を寄せ付ける、友達ができやすいような人は、そんな苦労もしないのだろうなと僻んでしまうときもある。
高校生のときはあんなに人目を気にして、些細なことで傷ついていた。
スクールカースト上位層にいるような、朝から化粧をしてコテで前髪を巻いてケープでかためて体育のときもAKBばりに可愛い顔してドジをやってるやつのことが死ぬほど大嫌いだった。お前はアイドルではないし、女を振りかざして、若くして自分を消費して、どうせ30歳かそこらで枯れて終わるくせに。私はこれから自分の消費をはじめるから、お前よりも長く、魅力を保ってられると、なぜか張り合っていた。意味がない。
高校を卒業して、大学にもほぼ行っていない今、人と繋がる手段がLINEしかないような気がしている。アルバイトの人としょうもない話をする時間がこれほど楽しい時間だなんて思う日が来るなんて思ってなかった。
友人・知人からの返信が来ないだけで、ひどく不安になる。
もう潮時なのか、もしかして傷つけることを言ってしまったか、他の人のほうが仲良く上手くやれるのか、自分からもう一度何か発言してみようか、脈絡もなく食事に誘ってみようか、今度返信が来たら大胆なことを言ってやってせめてもう少しだけ興味を引くような発言をしてなんとか繋ぎとめられないか。
どうせ後にも先にも縁が切れる関係性にしても、もう少し明確な、喧嘩をしたとか新しい恋人ができたとか、引越しをするとか結婚をするとか就職をして忙しいとか、そういう明確な理由があれば、諦めがつくような気がしていた。
でも実際、縁が切れることの理由っていうものは、言葉にできない、はたから見ればつまらなくて、どうでもいい曖昧で些細なことなんだろうと思う。
原因も結果も、誰に説明するわけでもないのに、確かに言葉にできないと不安になってしまう自分がいる。
「テストの結果が芳しくないのは、風邪をひいていたからなんです」という台詞みたいに、「この人と縁が切れてしまったのは、最近仲良くできていないのは、喧嘩をしてしまったからなんです」と言えないと、言えないと不安になるのはただの自分だけなのに。
自分を納得させるためにごまかしの言葉を必要としている。
自分自身を宥めすかすこともできないくせに、偉そうにツイッターで誰かのことを罵っているのがばかげていて、弱くて脆くてどうしようもないくらい退屈な人間が必死に取り繕っている様が滑稽で仕方がない。
私は何も悪くない。私は何も悪くない。私は
今まで必死に頑張ってきた。小学生のときから、少なくとも高校生くらいのときは「お前なんか死んでしまえばいいのに」という言葉をこらえて人間のふりをして生きてきたよ。
おとなしくて真面目で、本が好きでバレエをずっと続けててテストのときは可もなく不可もなく点数が取れて、仲の良い友達だっていないわけじゃない、ときどいきは休みの日に外食に行ったりする。声優の聞き分けが得意だししラジオが好きだけど最近の話題についていけないわけでもない。自分の好き嫌いにかかわらず目に入ってくる流行のものは概要以上に中身を知ってる。話題に困らないように。ときに「名前は知ってるけど詳しくは知らないんだよ」と相手が喜ぶような話の運びに持っていったりもする。
私の何を知ってるんだ。何も知らないくせに好き勝手なことを言うな。うるさい。
久しぶりにこういうわがままな気持ちになって、なんて子どもみたいなんだと思いながらも自分の感情に全くといっていいほどブレーキがかからない。何クソ、何クソ、とハンドルを叩いても現状は何も変わらなかった。
誰かに自分の努力を気づいてほしいと思いながら、誰かに許されたいと祈っては、お前なんか死んでしまえと心の中で罵って、何も知らないくせに適当なこと言うんじゃないと怒る。
思い通りにいかなければ喚き散らして、しかもいつも自分のことしか考えてない。
私はこういうふうな人間なんですとオープンになれるのはインターネットだけ。自分のことをちゃんと話せる友人なんて手で数えるくらいしかいない。その数人いるだけで幸せだっていうことは分かってる。見てくれている人は見てくれている、その程度で私はちょうどいいんだと思ってる。周りのみんなが注目する中、プレッシャーに耐えられるほど私の精神は強くないから。
乗る電車を間違えたとか、隣に座った人がめちゃくちゃ迷惑だったとか、バレエのレッスンが散々だったとか、目に映るいろんな景色のほとんどがイライラに変わってしまう今の精神状態を本当にどうにかしたい。
何でも「この経験は何かの糧になるよ」「きっとなんとかなるよ」と根拠もなくポジティブな人間をめった刺しにして、逆手に持ったナイフでぐちゃぐちゃにしてしまったものを掃除しなくてはならない気がする。
人と会って回復したい。
移動時間を楽しくするラジオのすすめ 6選
・電車での移動中、どうしても本を読む気が起こらないときがある
・車での移動中、音楽のプレイリストがマンネリになっている
・手軽にお金をかけず興味の幅を広げたい人
・気軽に落語や英語に触れてみたい
そういう人に読んでほしいわけです。
そもそもの問題として普段からラジオを聞く人ってあんまりいなさそうだし、この前「ラジオを聞くのが趣味だ」と人に言ったら「マイナーな趣味だな」と笑われたけど、せっかく先月からradikoのタイムフリー機能*1がスタートしたので今回はおすすめのラジオをいくつか紹介します。
- はじめに
- 1.『バイリンガルニュース』
- 2.TBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』
- 3.『渋谷らくごのポッドキャスト「まくら」』
- 4.ニッポン放送『オードリーのオールナイトニッポン』
- 5.ラジオNIKKEI『週刊 日経トレンディ』
- おわりに
はじめに
その前にいきさつを少し。
私がラジオを聞き始めたのは中学生のときからですが、当時はアニラジや声優のラジオばかり聞いており、文化放送の『神谷浩史・小野大輔の Dear Girl ~Stories~』『有限会社チェリーベル』『さよなら絶望放送』は死ぬほど聞いていたし、『集まれ昌鹿野編集部』『嗚呼、クラスター学園!』『週刊Radio SEED DESTINY ラジ種でーす』にも随分とお世話になりました。
ただ、大学生になって家から1時間半のキャンパスに通うにはそれらを持ってしても時間が余ってしまう。そういうときに出会ったのが"podcast"でした。
あらかじめラジオをダウンロードしておいて、通学中にひたすら聞く。
そういう生活を始めて随分と知識の幅が広がったように思います。
とりあえず気になったものを片っ端から購読していって、つまらなかったら購読をやめる、それが気軽にできるのがpodcastです。お金は一銭もかからない。
英語を勉強したいなと思えば英会話のラジオを購読すればいい。
そりゃ真剣に勉強したいなら机に向かってテキストを開くほうがいいのかもしれないけれど、時間がないとかそこまで真剣に勉強したいわけではなくただ英語を聞いて耳を慣らしたいだけであれば、ラジオでも十分なはずです。
ラジオはそういった気軽さ、壁の低さが魅力のひとつだと思っています。
他にもradikoやTBSラジオクラウドなど様々なサービスがあることだし、はっきりいってアウトであろうけどyoutubeやニコニコ動画にだってラジオはアップされています。
また、文字起こしサイトもあるので、使い方、聞き方は自分に合ったものを選べばいいと思います。
1.『バイリンガルニュース』
気軽に英語を聞いて耳を慣らしたい人におすすめのラジオ。
パーソナリティのMamiは日本語を話し、Michaelは英語を話す、"バイリンガル会話形式"のラジオで、毎回2人の気になったニュースを英語と日本語それぞれで紹介したあと、その話題について話しあうというもので、英語が分からなくてもだいたいの内容はつかめます。
MamiとMichaelが選ぶ話題が毎回すごく面白くて、それも魅力のひとつです。
「心理量子力学」「サイバーいじめ法」「イーロンマスク学校」と文字の並びだけ見ると全く意味が分からないこと、ニュースで普段取り上げられないことについても興味深く紹介してくれる。
一時期はスノーデンの話題を頻繁に取り上げていたり、「セックスで若返り」「女性オーガズムの意義」「強制AV出演」と性やセックスについての話題も取り上げられ、話題の幅がめちゃくちゃ広いのも良い。
どこかスポンサーがついているとかではないので2人が手作りでラジオを作っているからこそ、何かに縛られず自由でゆるい放送ができていると思うし、バックミュージックがかからないで椅子の軋む音や飲み物を飲む音、車や雷の音が少し入っているのも、なんていうかこう、いいんだよ…すごく…生活感が良い…。
2.TBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』
安住さんの変態性と悪行が詰まったラジオ。凝り性でオタク気質な安住さんが聞けるのは『にちてん』だけ!
少し涙もろい中澤有美子さんの明るい笑い声にも本当に癒されます。
リスナーからのメールも、それを読む安住さんの読み方も面白く、何回聞いても飽きない。
もうお願いだからこれだけは聞いて。
地元・北海道へ帰郷して学生時代の先生のもとを訪れたら、当時の同級生たちが集まっており、いつの間にか結婚して子どもを産んで自分と同じように年齢を重ねておじさんおばさんになってて、そんな同級生が集まって色紙を渡してくれたことについ泣いてしまった安住さんとか
自分の汗から塩を作ろうとする安住さんとか
異常にパンダと醤油に詳しい安住さんとか
「朝食バイキングは人間の全てが出る!」といって朝食バイキングをアツく語る安住さんとか
とにかく面白いから聞いてほしい。
TBSラジオは、以前はpodcast配信を行っていたのだけれど、お金の問題で今はTBSラジオクラウドというサービスに移行している。
ダウンロードして聞くことはできず、ストリーミングサービスではあるものの、放送の質が落ちるわけでなし、聞くことが日課になればそれも苦ではなくなる、はず…。
三が日でも生で放送するあたりにこだわりを感じるし、スタッフ泣かせの一方でリスナーはそういうところがすごく嬉しい。メールも読んでくれるし、毎年毎年「一都六県市区町村別リスナー確認調査」という非常に気持ちの悪い、安住さんの執念を感じるイベントも行われている。どの地域にリスナーが多いのか・少ないのかを市区町村別で、リスナーからのメールをもとにチマチマ調査していたりもする。気持ちが悪い。そこが好き。
3.『渋谷らくごのポッドキャスト「まくら」』
落語のまくらを放送するよ、という趣旨のラジオだったはずが、最近は本編も結構放送しているように思う。正直言って落語初心者の私でも、聞けば毎回笑ってしまうし、落語家に詳しくなくても楽しめる。落語を実際に観にいきたくなる。
若手の落語家さんが師匠のことを話すのを聞くことで、その師匠についても詳しくなれる。古典落語も新作落語も聞けるのでバラエティ豊かで本当に面白い。
サンキュータツオ氏の落語好きもすごく伝わってくるし、別にそんなに敷居が高いわけじゃないんだな、と思わせてくれる。「落語聞いてみたいけど、方法が分からない」という人向けのラジオ。
4.ニッポン放送『オードリーのオールナイトニッポン』
とにかくオードリー2人仲良しラジオで、聞いていてとても安心する。
これは『神谷浩史・小野大輔の Dear Girl ~Stories~』にも通ずることなんだけど、パーソナリティー同士が仲良しで、お仕事っぽさがないラジオだと、テレビよりも近い距離感でその人となりを知ることができるんですよね。
若林さんが、「おれは、世間的には離婚するイメージがあるのかもしれないけど 相方を変えず春日とずっとやってきたことを頭の片隅に入れておいてほしいんだよ」と言っていたり、
「混んでる電車内で前の車両にグイグイ行こうとするやつなんか、人の迷惑だってことも分からずに駅のホームの階段の位置を気にしてグイグイ移動するやつなんか、1.2分早く会社に着いたところで仕事できねえだろ」
「大きい皿の真ん中のところだけが少し窪んでて そこに少量の高級食材が盛られているような高級レストランではみんなが"おいしい"ってやたら言うんだよね、自分に言い聞かせなくちゃいけないから 高いものはおいしいって」
「俺の仕事が忙しいってことに気を遣って、別れた恋人が部屋の家事をしてくれてて、コインランドリー帰りの彼女見つけて俺後ろから抱きしめちゃったんだよね」
などなど若林さんのものの見方考え方がすごく良いなと思うところが多くて、春日さんがどっしり構えてうんうんと話を聞く、その構図がとても良い。
毎回2人がそれぞれエピソードトークを話すことになっており、2人の話術を感じることができる。その分リスナーからのメール紹介は少ないけれど、ハガキ職人の投稿も毎回ゲスで面白い。
5.ラジオNIKKEI『週刊 日経トレンディ』
日経トレンディの発行人である渡辺敦美さんと縫
格安SIM、VR、エコカー、スマートウォッチなど取り上げる話題は最新のヒット商品や、「コンビニvsネット通販・最得サービス決定戦」、「マイナンバーの利点と不安」など、知っておくと得する情報が満載。
話のタネになることは間違いないし、興味がない話題でも聞いてみれば関心することも多い。時間はそこまで長くないのに情報量が多くて、新聞で読むより気軽に知識を増やせるのがこのラジオの良いところだと思う。
6.『Rebuild.fm』
宮川達彦さんとゲストが毎回IT技術について話すラジオ。
正直聞いていても本編のテクニカルな部分は分からない。それでも話し方でなんとなく分かるところもある。面白い。ここがラジオの魅力だと思う。
アフターショウでは最近ハマっているゲームや、apple製品、映画などカルチャーの話を中心にするので、エンジニア、プログラマじゃない人たちが聞いてしっかり楽しめるのはこっち。
最近でいうと、宮川さんと松田白朗さんが「アメリカで字幕公開されたシン・ゴジラは文字数が多すぎる」「会議室や人の名前も全部漢字の下に英語が出てるから」「石原さとみの喋った英語に日本語訳が出てそのまた下にアメリカ訳が出てる」と話していたの面白かった。
『君の名は。』のアメリカ公開に関して話しているときに、「日本の田舎町みたいなローカルネタは伝わりづらいかもしれない」「主人公の男女が入れ替わったときに、話し言葉が変わるけど、あれって日本語でしか表現できないと思うんすよね」と話していたのも興味深った。
確かに日本語の方言みたいなものを英語でどう表現するのかは、気にしたことなかった。まあ『君の名は。』自体を観てないんですけど。
おわりに
今イチオシのラジオを書いてみたところでその魅力が私の拙い文章力で伝わったのか不明だけど、ためしに"podcast"を開いてみてください。
音楽の代わりに、読書の代わりに、電車から降りて改札まで向かうときとか少しの時間でも聞けるのがラジオの良いところです。再生ボタンを押せば、読書よりかは受動的でいていいし、何もしなくても情報が流れてくるのでそんなに疲れることもない。
時間が空いたときにこの記事をきっかけにラジオを聞いてくれる人がいたら嬉しいです。
*1:一週間以内であれば過去の放送を後から聞けるサービス。詳しくは
親と一緒に
駅ビルで中華惣菜を売っている。
時給は1000円で、客層は主婦が多い。
震える手で財布から小銭をゆっくりと出すおばあちゃんや、ランチタイムには肉まん1つでお昼を済まそうとするOLが来る。
耳が遠くて店員が何度言ってもお会計の値段を聞き取ってくれない人や、駅ビル全体で利用しているポイントカードの仕組みを理解していない人、駐車券の利用方法が分かっていない人や、幼稚園生くらいの子どもの手を引きながらもう片方の手で赤子を抱っこしている若いお母さんもいる。
もともと老人嫌いを直すために始めたアルバイトだった。
老人が嫌い。
電車で真っ先に優先席に向かって走りこむ老人、座れなかったからって若い人に「譲りなさいよ」という態度を出しまくる老人、歩くのが遅くて後ろがつっかえたり、耳が遠いからといって大声で話して周りの迷惑に気づかない老人。そういう人を相手にするアルバイトがしたくて、今のバイト先の面接を受けた。
大学2年生のときに塾やバレエ教室で講師として働いていたのは子ども嫌いを直すためだった。
うるさい子どもが嫌い、それを注意しない親も嫌い、うるさい子どもに恨めしげに視線を送るサラリーマンも心が狭いと思う。
そういう思いを抱えながらも塾で働いていたときは本当に子どもの奔放な態度に面食らいながらも愛情を浴びて日々進化していく子どものことが少しずつ好きになって、辞める日には子どもとの別れが惜しくて、「なんでせんせいやめちゃうの?ほんとうにもうこないの?」と背中にのしかかってくる女の子の体温を感じながら、「また遊びにくるね、絶対」と指きりを切りながら、女の子のまっすぐな目線から逃げた。
仕事として、店員として接すれば、塾講師のアルバイトで子どもが好きになれたように、老人のことも好きになれるかもしれない、嫌いじゃなくなるかもしれないと思った。
ちょうど今のお店で働き始めて1年が経とうとしている。
いろいろなことがあった。
本日のバイト、おばあちゃまがいらしてお会計してるときに「それにしても今日は空いてるわね あたしそれが嬉しくって買っちゃった あなたには悪いけど アハハ」って言ってくれたのが嬉しかった お店の売り上げが芳しくないというよりはあなたが暇そうにしてるのに悪いわね、という感じだった
— 赤埜よなか (@_ynk) 2016年6月25日
バイト先、チビが親の代わりに注文してくるときが結構あって 「にくまん3まいください!」ってもう数え方間違ってるし お店のカウンターの高さが高くて声の主が見えないし 背伸びして声の主を見下ろしたらすごい緊張したら面持ちでもう一回「にくまん3まいください!」って言ってくるし可愛い
— 赤埜よなか (@_ynk) 2016年6月26日
バイト先、お客さんはお釣りをもらったら満足して帰ろうとすることがたびたびあるので「こちらお品ものです!」って声かけするんだけどそのときにお客さんが照れたみたいに笑うのを見るのが好き
— 赤埜よなか (@_ynk) 2016年6月26日
「これとあれだったらお姉さんどっちがオススメ?」「こっちのほうが甘くて飽きない味ですよ」って言ったら私が勧める通りの商品を買ってくれて見ず知らずのただの学生バイト店員に信頼してくれるなんて嬉しいな〜ってなった
— 赤埜よなか (@_ynk) 2016年8月9日
今日バイトしてたら白髪のきれいなおばあさまのお会計してたら 「ん」って財布に入っていたたくさんの小銭を手のひらに乗せて差し出してきて 「(この小銭の中から必要金額をとってくれ)」という意味合いであったんだけど それがあまりに可愛い仕草だったので惚れてしまった
— 赤埜よなか (@_ynk) 2016年8月9日
バイトしてたら社員に「このまえ気遣ってくれてありがとね」って言われたり大学の話したり、ケバいお客さんに「これほんと美味しいわよ〜今日はお得ね ありがとね」って言われたり、ハエにびっくりしすぎて後輩と爆笑したり、いつもの常連さんたちとたくさん会えて嬉しかった
— 赤埜よなか (@_ynk) 2016年9月24日
常連さんの顔を覚えて、この人はいつもどんな買い方をするか覚えていると喜んでくれる。迅速なレジ会計よりも、人間相手だからこそ自分のことを覚えててくれているというのが嬉しいみたいだった。
*
今日は、バイト先にくる老人の話がしたいんじゃなくて。
お店でよくシュウマイの試食を出している。シュウマイを半分に切って楊枝に指してあたたかいものを出している。それを食べて買ってくれる人ならいいけど、何個も食べて逃げるようにして帰る人を見るとつい舌打ちしたくなる。そんな罪悪感丸出しの顔をして早足で逃げるんじゃねえ、と思う。卑怯だ。店員はお店に閉じ込められているから、そういう人を走って追いかけて襟首つかんで「ねえ、何個も食べたんだから買っていってくださいよ!」と叫ぶこともできない。
いつも、試食を食べて買わないで帰っていく人の中に、10代か20代の女の子がいる。大抵の試食泥棒はおじさんが多いのに。
よく観察していると、その女の子はどうやら障害を持っていて、ヘルパーと一緒に歩いていて、話し方がすこし変わっている。いつもお店の前に来ると走って試食コーナーに来て、ひとつかふたつ食べて、帰る。
あるときその様子を見たヘルパーが「買わないんだから食べちゃダメ!」と女の子を叱り、それでも女の子は何か呻きながらも試食に手を伸ばしていた。手をつかまれ連行されるようにしてお店をあとにした彼女を見て、「あの子はヘルパーの目を盗んでまた来るだろうな」と思った。
今日お店に来た女の子はヘルパーが通せんぼをするように試食コーナーを背中で隠し、断固として食べさせないようにしていた。店員としては「どうぞ」の一言も言えたらいいのだけれど、他のお客さんがいっぱいいて対応しきれなかった。
目線だけで彼女を追うと、このまえのようにヘルパーに手をつかまれとぼとぼと歩いていった。食べたかっただろうな、とシュンとした背中がなんとも切なくて仕方なかった。
30分後くらいに、ヘルパーを連れず女の子がひとりでやってきた。
「どうぞ」と言うとニコニコしながらシュウマイを食べた。
「…あの」
ゴニョゴニョと聞き取れない言葉で話しかけてきた女の子にびっくりして、小学生のときクラスにいた障害者が訳わかんないことを話してむちゃくちゃにイライラしたことを思い出して、なんとか「なんですか?」と聞き返したら、
「あの、今度、親といっしょにまた来てもいいですか?」とハッキリとした口調で、女の子が言った。
泣くかと思った。
普段、女の子は親と一緒にお店には来ていない。学校か、何か施設の帰りにヘルパーに付き添われてお店を通り過ぎる。これから夜ご飯を食べるのだろうか、帰り道にはあまりに誘惑が多すぎる。
家で親が待っていて、夜ご飯を一緒に食べる。親が玄関先でヘルパーに「今日もありがとうございました」と言っている。ヘルパーが今日の彼女の様子を伝える。受けた授業のこと、クラスでどういうことがあったか、明日の連絡。
そういうことを想像してたら、彼女がまたお店に来るのが待ち遠しくなった。親と一緒に来て、いつか夜ご飯で彼女が好きなシュウマイを食べられたらいいなと思った。
『入社1年目の教科書』を読んだ
岩瀬大輔さんの『入社1年目の教科書』を読んだ。
読書メーターによると3000人以上が登録していて、いかにたくさんの人に読まれているのかが分かる。基本的なことしか書かれてないし、常識的で当然だと一蹴するのは簡単だけれども、ここ数日 情緒不安定気味な私はこの本を泣きながら読んでいた。知り合いに20代30代40代が増えて、その中でも、(まだ働き始めていない私が見ても)バリバリ働いている、活躍しているだろうなと分かってしまう、知り合いのことを思いながら読んだ一冊だった。「自己啓発本は役に立つこともあるけどモチベーションあげるために読んでいる」と言っていた人の、私には見せてくれないような仕事ぶりを想像しながら読んだ。
今の私のバイト先、バレエのスタジオでの立ち居振る舞いに置き換えて読むほどまだ自分にはできることが多くあるような気がして、仕事が速いだけが取り柄だ!と思っていたけど、特別なことは何も無い、ただ少しコミュニケーションに積極的になるだとか些細なことから動けることがあるかもしれないと気づけたのも良かった。
来年度から働き始めるこのタイミングで読んでよかったと心から思った。
ので、以下感想。
- (1)仕事は総力戦だからこそ、50点で構わないから早く出せ
- (2)仕事に意味を見出す
- (3)予習・本番・復習は同じ割合でやる
- (4)新人は新鮮な目線での発言が求められている
- (5)「早く帰ります」宣言を早くにする
- (6)仕事を誰とやるか
- (7)全体観をつかむこと
- (8)コミュニケーションは、メール「and」電話
- (9)本を速読するな
- (10)人の良いところ探しをする
- (11)ミスの再発防止策は、仕事のやり方を変えること
- (12)人と比べない 同期と必要以上につるまない
- (13)コンビニ出費を抑えろ
- (14)勝負どころを見極める
- 総括
(1)仕事は総力戦だからこそ、50点で構わないから早く出せ
新人がベテランより高い点数を出すのはどう考えても不可能であって、だからこそ粗削りでいいから早めに上司に提出してブラッシュアップしていきなさい、という話。
「相手に迷惑かもしれない」とか遠慮に時間をかけるよりも、勇気を出してフィードバックをもらいに行って修正に時間をかけたほうが有意義だと、それがより良い成果に繋がるのだと書いてあった。「方向転換は早ければ早いほどいい」というのは、自分がつまづいている部分が思いのほか重要ではなく、自分が重要だとは思っていなかったこっちのほうが実は重要だったと、人から助言をもらうことでより迅速にそちらに舵を切れるということ。
(2)仕事に意味を見出す
叱られたときも、褒められたときも、その意味を考えるよう習慣づけたほうがいいと書いてあった。つらいときは「もうこれ以上つらいことは今年は無いな、よかった」と考えるよう意識しろとも。意味をつけるのは自分だから、そんなの気の持ちようだと。
以前、インターンでお世話になった人に「新人に意識してもらいたいことは何ですか」と尋ねたことがあった。まさにそれと同じようなことが書かれていた。
インターン先の先輩に「後輩に求めてるものはなんですか?」って聞いたら、「後付けでもいいし些細なことでもいいんだけど、自分の仕事に意味を持たせてやってほしい」って言われたことの意味が分かってきた
— 赤埜よなか (@_ynk) 2016年8月15日
(3)予習・本番・復習は同じ割合でやる
本番に全力出す奴らが多いからこそ、最後のアウトプットまでやったほうが一歩リードできるっぽい。
(4)新人は新鮮な目線での発言が求められている
「あえて言わせて下さい」「ちょっと筋違いなことかもしれませんが」でフォローをすることが大事。
会議にとって有意義か有意義じゃないかはともかくとしてとりあえず発言して自分が出席している意味をちゃんと考えなさいという教え。
(5)「早く帰ります」宣言を早くにする
定時ギリギリで言われると超面倒だから早めに宣言しておけば「早く帰りたい」ってことを早めに周りと共有できるよ、という話。
(6)仕事を誰とやるか
つまらない仕事を楽しい人たちとやるか、楽しい仕事をつまらない人たちとやるか
自分はどっちがいいのか考える。
(7)全体観をつかむこと
大きい仕事を大勢でやるよりも、小さい仕事を1人でやって全体観をつかむことが大事
大勢でのプロジェクトだと自分が関わっている意味とか意識が薄くなりがちだから勉強のためにも全体観をつかむためにも小さい仕事は便利だという話。
(8)コミュニケーションは、メール「and」電話
私は相手の時間を拘束せず、返信のタイミングを渡すことができるメールやLINEのほうが好む傾向にあるタイプの人間なので、読みながらウッときた。あえて電話をすることも大事だよという話。
(9)本を速読するな
普段からテレビや映画やラジオを2倍速で見聞きする私にとってはすごく新鮮すぎる言葉だった。より多くのタイトルに触れて、倍速でも内容を理解して数をこなしていくスタンスをずっと取ってきた。中高生のときはラジオを聞きながら本を読んだりもしていた。
けれどこの本には「じっくり読む価値のない本は、読まなければいい」と、書いてあった。
私が今までやってきた、「できるだけたくさんのものを見聞きするために1つ1つに接する時間を短くすること」はつまり、「自分で何が大事か選び取る・判断する技術がないからやってきたこと」で、効率を求めてやってきたことが実は時間の無駄を生み出してきていたことにやっと気づいた。大事な物・大事じゃない物の取捨選択ができないから効率を謳ってやってきただけの愚策だった。
大学1年のときに「1年で本を100冊読む!」という目標を掲げていたとき、1年の終わりごろ、まだ目標の100冊を達することができていなくて、その100冊という数に囚われるあまり、短歌や詩の本を読んで数を稼いでいた気がする。他人から「それで数を稼ぐのはどうなの」と言われてぶちギレたことも思い出してきた…。私としては別に短歌や詩の本を数稼ぎに読んでいたとはいえ行間を読んでいなかったわけじゃないし、ちゃんと接していたはずだけど、他人から見れば「小説よりも詩のほうが軽く読めてしまうからそっちを選んでいるんだろう」と思われるのも仕方がない気がした。ナメるなポエムを!(昔ポエムを書いていたがゆえの発言)。
(10)人の良いところ探しをする
人を尊敬したり、感動したり、驚いたり、褒めたりするのが上手な知人がいて、なんでそんなに他人に興味が持てるんだろうと思っていた。けど、わりと最近私のそういう技ができるようになってきた。オーバーに驚いたり笑ったりすると、勝手に人が続きを話してくれる。便利。適当に笑ってるだけでいい。
そうすると、最初に話してくれたことと後に話してくれたことの繋がりが分かって「だからこの人はこんなにも楽しそうに喋るんだ」と納得できることも多々あるんだと思った。興味がなくとも興味があるふりをしていけば、そのうち勝手にどうにかなるし、「この前言ってたことどうなりましたか」と話しかけることもできるようになった。勝手に仲良くなれる。便利。
(11)ミスの再発防止策は、仕事のやり方を変えること
同じやり方でやるからミスをする。
(12)人と比べない 同期と必要以上につるまない
入社するとその会社だけのものさしで物事を見てしまうから、外の人と付き合うことも忘れちゃいけないんだよという話。社内だけなら仕事ができる部類に入るかもしれないけど、他社では違うかもしれないんだから現状に満足せず行動し続けろという。
(13)コンビニ出費を抑えろ
小学生からの友達に「コンビニを見かけたら入らずにはいられない」という人がいて、私のほうは未だにコンビニで買い物をすることに慣れずにいる。けど、そのうち毎日毎日コンビニでご飯を買うようになるのだと思うし、それは1年で換算したら物凄い額になってるから気をつけろという教え。どうして街中にコンビニがあるのかしらん…もっと少なくていいのに…多すぎでは…と思ってる自分の感覚を忘れずにいたい。「どこにでもコンビニあるラッキー!」ってなりすぎないようにしたい…。
(14)勝負どころを見極める
そのために衣食住に気を遣えという話。朝ご飯食べて出社したら、1日のどこにピークを持っていくのか考えて最初からスパートをかけすぎないように注意しなさいという教え。ここぞというチャンスが回ってきたのにスタミナ不足で全力発揮できないなら意味無いから。
総括
「周囲から信頼に足る人物だと評価されれば、次の仕事が回ってくる」という文章が冒頭にあった。「こんなに頑張っているのに評価してもらえない…」と言うのは簡単だけれども、評価されないのにもちゃんと理由があるからそこを自分で考えて改善していきましょうということなんだろうけど、厳しい…。
ただ、こう、結構忘れがちなことを書いてくれているおかげでふとした瞬間に見返したいと思う項目がいくつもあった。「本を速読するな」とかね、やりがちだから…。
あと、著者の岩瀬さんが生命保険会社の人ということで、そろそろ私も保険とか考えなきゃいけない時期なのかな…と思った。
【ネタバレ有り】『怒り』で描かれなかったシーンを考える・後悔と葛藤について
李相日監督の『怒り』を観た。2時間22分と大変長い上映時間の作品で、原作は吉田修一の同名小説、読売新聞の朝刊で連載されていた。
主要キャストは渡辺謙をはじめとした誰もが知ってる俳優ばかり。音楽は坂本龍一。
観たあと第一声「つかれた」と思った。
キャストもストーリーも音楽も脚本も演出も重いな、という印象だった。
指の皮膚をつねっていないとまともに観ていられないようなシーンもあった。
それぞれの人間の感情を次々に見せつけられては自分の感情の処理にまで手がつけられないような感覚だった。
映画を観てから3日ほど経ち、iPhoneのメモに殴り書きした感想があったことを思い出したのでここにアップしておく。
原作未読なので、あくまで映画自体の感想と、描かれたシーンと描かれなかったシーンとか、①食事②セックス③睡眠④生活の観点について東京・千葉・沖縄に分けて記す。
- 東京
東京組は直人(綾野剛)と優馬(妻夫木聡)とお母さん(原日出子)と最後に少しだけ薫(高畑充希)が出演。ほぼ直人と優馬の2人のみでストーリーが描かれていた。
・食事
役作りとして綾野剛と妻夫木聡は一緒の部屋に泊まって生活してたらしいし、一緒の物を見る、同じ景色を見ることを強調して、向かい合って話したり抱きしめあったりというのはなかったように思う。何かのインタビューで妻夫木聡が「剛の横顔ばっかり見てた」というような話をしていて、確かに見つ めあったり互いの顔をちゃんと見て会話をしているシーンは少ないように見えた。直人がコンビニで買い物をするシーンや部屋で果物を切るシーンはあれど、部 屋で食事をしているシーンはなかった。ゲイクラブで無理やりセックスをしたあとラーメン屋に行っていたけれども、それも横並びで座っていた。沖縄組の3人は居酒屋でテーブル囲んでいたよね。千葉組は2人でお弁当。
向かい合っていたところでぱっと思いつくのは「何か言えよ」「何かって?」「何でもいいから」「…信じてくれてありがとう」のところ。
あそこでめちゃくちゃに号泣してしまって一緒に行った人から「コンタクトずれた?大丈夫?」「あのシーン泣くところだった?」とか言われたりしたけど、(元腐女子だった)私としてはあんなの、あんな台詞告白でしかないし愛でしかなかった。勘弁してくれ。
・セックス
ゲイクラブの奥まったところで優馬が半ば無理やり直人のことを抱き、バックで思い切り突き上げてたシーン。挿入前にしっかりコンドームをつけていたのは性病感染予防なのかなと思った。
嫌がるくせにパンツ一丁で体育座りしている直人は一体なんなんだ…。ヤられに来ているようなものだし、行くところがないにしても他に行くところあるでしょうがというツッコミが喉元まで出かかったけれど、この一連のいきさつについては原作では描かれているのでしょうか。
あとクラブの奥まったところにはセックスできるスペースが設けられているものなんですか?私が行ったことのあるカップル喫茶に雰囲気というか照明の感じとか枕の薄さとかコンドームが置かれているケースとかがそっくりすぎてびっくりした…。そういえば2人はキスしてたっけ。
・睡眠
2人が一緒に寝てるシーンってあったかなあ、と考えて記憶が衰退しているのかちょっと思い出せない。千葉組が寄り添って眠っているところや沖縄の泉ちゃんが泣きはらしたあと眠ってしまって目が覚める、というシーンは覚えているけれど…。直人が部屋を出ていったあと優馬が憔悴しきった顔で直人に何度も何度も電話をかけていたのはすごく覚えている。2人で寝たであろうベッドに今は1人。寂しさで大きめのベッドを持て余していたなあと思う。
・生活
優馬の仕事場の人たちは1人も出てこなかった。友達はいたし仕事関係で電話をしたりスーツ姿で出歩いてもいたけれど、仕事終わりにお見舞いに来たとか、仕事終わりにクラブに来たとか、そういう感じでどんな働きぶりだったのかというのは分からないけど、独身男性サラリーマンがあんな小洒落た部屋に住める、その財力があるということは結構稼いでいるんだなと思った。ああいう財力のある独身男性が部屋でワイシャツを洗濯したりアイロンかけたりするのを想像するとそれだけで胸が高鳴るけど、なんだかあの部屋はちょっと生活感がなさすぎた。整頓されすぎていたような気がする。気が休まらないような気がする。ただ、直人がそばにいてくれた時間だけは安心するし、癒されるし、のんびりできたのだろうと思う。親のお見舞いに行ったり、クラブに遊びに行ったりしている時点であんまり自分の家に執着をしていないというか、家より外にいるほうが好きなタイプだろうに、直人がコンビニで買った弁当が斜めっちゃって直そう直そうとしているシーンで、緊張の糸が切れたみたいに笑って「好きなだけ(弁当の角度)直せよ」って言ってた。愛ですね。
余談だけど、直人が行ってたコンビニ、商品の数はそんなに多くないのにキッチリ並んでたのあれすごく気持ち悪かった。おにぎりとおにぎりの間のスペースがキッチリ均等で、「丁寧に並べました」感がめちゃくちゃ出てた。
優馬の後悔は、今の生活とか仕事とかセクシャルマイノリティである自分とかほかにも色々、大事な物が多すぎるせいで直人を信じてやれなかったこと。女の人とお茶をしているからといって浮気だと疑ったり、警察からの電話に「知りません」と言ったり、直人の私物を処分して自分の身を守ろうとしたり、結局自分を大事にしたために直人を繋ぎとめてやれなかったこと。直人といると安心するみたいなことを言っておきながら、その安心を自ら手放した優馬。
一方で直人は、優馬に対して自分が施設育ちだということや病気があることを言わなかった、言えなかったこと。そんなこと知ったらきっと嫌われる、引かれてしまうという恐怖心に打ち勝てなかったこととかかなあ。 - 千葉
千葉組はお父ちゃん(渡辺謙)と愛子(宮崎あおい)と田代(松山ケンイチ)、ときどき池脇千鶴。どうして愛子が水商売をやっていたのかその理由についてもっと知れたら愛子に感情移入できたのかもしれないけど、個人的にどうしても千葉組はハマれなかった。田代くん、人見知りかと思いきや喋りかければ思いのほか結構喋る。お弁当食べてるシーンが可愛い。
・食事
食事については言わずもがな、愛子と田代のお弁当でのやりとり。父親のお弁当を作るのと一緒に田代くんの分のお弁当も作ってあげようか、と話を持ちかけるあたりがうまいというかなんというか。
体力仕事だからこそ食べないとやってられないだろうし、逆に言えば愛子お手製のお弁当のためならハードな仕事も頑張ろうと思えるだろうし。
・セックス ・睡眠
冒頭、車に乗せられた愛子と土砂降りの中自転車を漕ぐ田代くんが遭遇するシーン、愛子が父親に連れ戻されたように、自分も借金取りに見つけられ地獄に連れ戻されたらどうしようと思っていたら…というのを、2人の事後のシーンで考えてた。父親名義ではあるけど同棲生活をスタートさせ今は落ち着いて寝ていられるけれども、そのうち…という。
私は食事とセックスは地続きだと思っていて、それは福田里香さんというお菓子研究家が中村明日美子にインタビューをしたときに「関係が落ち着いたときにお茶をする」という話をしていたことがきっかけなんだけれども、セックス後にお茶をしたり、食事をしたあとにセックスをしたりと、どちらも円滑に進んだからこそ垣間見れる登場人物の生活感という話で、そういった意味では東京組より千葉組のほうが非常に生活感は感じた。
・生活
東京の優馬の働きぶりが描かれない一方で、千葉での田代や父親の働く描写はかなり描かれていたように思う。うわさもすぐに広まってしまうような小さい町で働く人々。ネットもそこまで使わない生活、優馬がネットで犯人の写真を見ていた一方で、愛子は掲示板を見ている。化粧もせず、財布も携帯も持たずコンビニがあるわけでもなく移動手段は車。田舎。
明日香(池脇千鶴)から後々指摘されていたけれど、父親が「愛子は幸せになれないとでも思ってる」というのは、完全に愛子に伝わっていたし、それで幸せになることを放棄して、自分のことを自分で変わってると言っちゃうような、そういう女の子が田舎で生きるというのはきっと苦しいし、どうやったって家族や町の人からの監視がある生きづらさは計り知れないと思う。
「どうして外で食べてるの?」と愛子が田代に話しかけるシーンは、「どうしてみんなと一緒じゃなくて一人でいても平気なの?」と言っているように聞こえたし、他人の群れることが前提の社会じゃ、どんなに変わりたいと思っても変われなくて、だから都会に飛び出してしまったほうがいっそ気楽だろうなとも思う。
田代が人に群れない気質で、愛子は田代のそういうところが好きで、田代と一緒にいれば自分も何か変われるかもしれないし幸せになれるかもしれないし、田代くんみたいにちょっと暗くて素性の知れない人ならお父ちゃんも納得してくれるかもしれない、「愛子は人とは違うから普通の幸せは得られないかもしれないけれど、田代となら」と。結局田舎は女は結婚したら出産をして家事をやるべき、という普通を押し付けられる社会なんだろうな、つらいなと思った。
愛子は幸せになることを諦めていること、それがゆえに好きな人のことを守れなかったこと、結果的に田代を連れ戻せるとはいえ、人の声に惑わされて疑ってしまったこと、が後悔というか罪なのかなと思った。愛子はとても周りに左右されやすい人だから、田代みたいにちょっと浮くけど動じないような人が合うのかな。
父親に関してはもう特に言うことはないというか、娘を信じてやれよ、としか思えない。子離れしてほしい。親が子離れできないために子どもが不幸になる典型パターンっぽい。
田代は、家族が作った借金を背負い込みすぎているような気がする。誰かを頼る術を知らない。 - 沖縄
沖縄組は泉(広瀬すず)と辰哉(佐久本宝)と田中(森山未來)。レイプシーンがエグすぎるのと森山未來の目が終始イカれちゃってるのが本当に怖い。
・食事
3人で居酒屋で飲むシーンがあったけど、お酒の勢いで「俺はこの子のことが好きなんですよ」と言っちゃうような男は、レイプに遭ってる女の子を助けられるわけがない。当然の流れというか。逆にお酒の勢いで告白してる男がヒーロー然として現れても何の説得力もない。
・セックス ・睡眠
レイプ被害者(しかも処女?)が誰かとセックスするようになるまではきっと膨大な時間が必要だと思うし、それは汚い身体を見せたくないという気持ちとか、また乱暴にされたらどうしようとか、あのときの記憶が思い出されるからできないとか、もう想像以上に身体的にも精神的にもキツいんだろうな。しかもレイプされているところを好きな人に見られたとなったらもう地獄でしかなくて、海辺で辰哉に砂をかけるところは距離をつめられて抱きしめられたりでもしたら、慰められたりでもしたら、自分が自分じゃなくなってしまう、そんな言葉がほしくて訴えているわけじゃないんだという、辰哉の父親がデモに参加してそれを見た辰哉が「何かを訴えて意味あるのかな」という言葉に重なって、「訴えても意味ないんでしょ、誰にも届かないんでしょ、この痛みが、怒りが伝わるわけないんでしょ」と泉の台詞になる。父親のデモのことと、レイプについては別問題であるようで実は繋がっている問題なので(沖縄にいる米兵がレイプをしたから、これが日本人による犯行だったらまた話は変わってくる)で、もう泉はボロボロになってしまう。
泉と辰哉がセックスするなんてときは到底訪れることもなくて、千葉の愛子と田代が寄り添って眠るシーンはあれど、泉と辰哉はボートに乗っても向かい合うことはなく、ずっと辰哉は愛子の背中を見てデートが始まっていた。居酒屋に行っても隣に泉の体温は感じるものの視線は辰哉ではなく田中に向いている。レイプ後には今日も地獄の朝が来たという凄惨な顔つきで泉は目を覚ますし、沖縄組は3人とも見ててつらすぎる。
・生活
旅館の手伝いをしている辰哉、もうきっと小さい頃から手伝っているんだろうなという手際の良さで働いていた。田中がキャリーケースをガンガンぶん投げてるシーンとか食堂を荒らしてるところが最高にクレイジーで今まで積み上げてきたものをぶち壊すわけだけれど、すでに異常者は旅館に入り込んできていた、その知らぬうちに溶け込んでる殺人犯みたいなものがリアル。
泉や辰哉の学校に通ってるシーンがなかった。
離島に滞在する田中を訪ねる泉は勝手に田中の住む環境に足を踏み入れない、どうぞと言われたらやっと入っていくところに泉と田中の距離感、年齢差があれど男同士だからか田中は辰哉の部屋にためらいもなく入ってつまみを食べながら酒を飲む2人距離感、デートは重ねてるのに一向に縮まらない2人、レイプされたあとに「おかあさん…」とつぶやく泉とその母との距離感、どれも違う。誰も親しくない。
辰哉は泉を救えなかったことを後悔しまくっているけれども、海辺のシーン以来泉に会いにいっていない、会いに行く資格さえないと思っている節があるけど、後悔するならもう何が何でも会いに行ってほしいと思いながら観てた。
近くにいてくれたら何かが解決するわけでも傷が癒えるわけでもないかもしれないけど、物理的にそばにいることがどれだれ人を救うかという、ことを考えてしまった。
ここまで書いてどっと疲れがきてしまったので、追記があればまた翌日以降書こうと思う。
22歳
22歳になりました。お祝いしてくれた方ありがとうございました。
去年の夏のバレエの発表会が終わってから、IT企業のインターンに参加してみたり、出会い系サイトに溺れたり、破局したりしましたが今年もなんとか生きてるみたいでした。
8月の上旬に、初めての主役を任せてもらったバレエの発表会が終わり、ぼんやりしていたらあっという間に月末になっていました。「できないと思うなら私は言わないよ、できると思ってこの役を任せてるし、できると思って指導しているんだよ」という先生の言葉に涙ぐんだりしながらまあ緊張と重責でガタガタの本番をなんとか終えました。
今まで発表会で泣いたことなんて一度もなかったのに、今回は終演後に友人の顔を見たら涙が止まらなくなった。小さなバレリーナたちは出番が終わり安心しきった顔で、大トリを踊る私を袖から見ていて、客席からの視線よりももっと緊張を煽られた。この感覚は初めてだった。終演後の写真撮影で「泣くのはまだ早いよ~」と笑われたり、ロビーでは「なんで笑うの」「いやあ泣いてるなあ~って」と友達に言われたりした。
就職したらバレエの発表会でグランパドドゥを踊る機会はなくなってしまうかと思ったら、これが最後なのかもしれないと思ったら、自分の脚が一本なくなったみたいな気持ちになった。
就職活動をしながらの練習は本当に大変だった。行きたい会社からのお祈りメールを見たあとレッスンに行くことが本当につらかった。就職活動でアルバイトがたくさんはできなくて金銭的にもつらかった。でもバレエの練習に専念するために早く就職先を決めようと本気で思えた数ヶ月だった。
LINEやツイッターでも「頑張ってね」と声をかけてもらったのがとても励みになった。発表会のあとも、私がバレエのことを話しても興味を持って聞いてくれる人がたくさんいることがとても嬉しかった。今まではバレエをやってるというだけで「いつまで子どもの頃の習い事を引き摺っているんだ」みたいな気持ちになって、おとなしく、おしとやかにバレリーナらしくいなければと思っていたのかあんまり人にはバレエのことを話せなかったように思う。
就職活動をする上で、自分の軸を決めなさいと言われて自己分析をしていたら、私の人生にはずっとバレエがあったんだと初めて気づいた。「16年もやってることは自信持っていいことだよ」と、人から言われたのもきっかけの一つだった気がする。
応援してくれた皆さん、励みになる言葉ときれいなお花をありがとうございました。
最近幸せすぎて死んじゃうんじゃないかと思うことが多くて、早死にしそうな勢いになってきた。
親友と浴衣を着て花火大会に行ったり、人とオリンピックを見ながら感動したり笑ったり泣いたり、木更津に行って海を見たり始めてなめろうを食べたりした8月だった。親友とディズニーに行った。充実しすぎて今までなんだったんだろうと思うレベルで、ときたま来るバイトも習い事も遊びもないオフの日が来ると寂しくて仕方がなくなる。どんどん自分がだめになっていくような気がする。
・やたらと美味しかったパンケーキ
・千葉の海
・初なめろう
・誕生日祝ってもらった
誕生日は東京タワーで新宿外苑の花火大会を見た。東京タワーの中での、音が聞こえない花火。都会での花火大会はちょっとしたテロみたいでおもしろかった。高層ビルが燃えていた。
今年もよしなにお願いします。
雑記(7月17日~8月3日)
・7月17日(日)
先日渋谷を歩いていたら「カットモデルやりませんか」と声をかけられた。声をかけてくれた方はとても若い女の子で話を聞けば同い年だという。「就活お疲れ様でした!私の友達もいま就活の真っ最中で…」と彼女が話しているときに、この新人の美容師さんは4年生の大学ではなく専門学校を2年で卒業し就職した、私とは違うスタイルの人生を歩んでいる人なんだと思い至った。「きっときれいにパーマかかると思いますよ!絶対似合います!」と私の髪をそっと撫でてこちらを見上げてくる彼女の足はぺたんこ靴を履いていたので長時間道行く人に声をかけているのだと想像した。就職活動も終わったし、3年ぶりくらいにカットモデルやるか~と承諾すると笑顔で喜んでくれたのがとても印象的だった。
17日はその彼女が働く代官山のおしゃれ美容室で初めてパーマをかけてもらった。髪を少し切られ、前下がりだった髪が前下がりではなくなってしまいしかもそれが思いのほか似合わないことにショックを受けたけど(伸ばしてもいないし切りたくないわけではない、と曖昧な言い方をしてしまったため)、パーマはとてもかわいく仕上がった。ヘアアイロンを使わずとも濡らしてブローしてワックスつけるだけでくるくるが持続するのは、忙しい朝でもおしゃれしたいと思いつつ実行できない私にはとてもありがたかった。美容室には彼女以外に、男の見習い美容師さんがいて、シャンプー前にヘアカタログの一部分を指差し「ここに載ってる男の人、今あそこで髪切ってるんですよ~」と彼女の示す先にいたお店で一番偉いっぽい美容師さんにめちゃくちゃにしごかれていた。「適当にやってもダメだから、一本一本乾かすつもりでやって」とブローから怒られていた。「はい」と不服そうに返事をする見習いくんも、スマホをいじりながら横柄な態度で新人を指導する先輩もすごく怖かったが、きっとこのお店で働く人たちはそういった指導(洗礼)を通過してきた人たちなのだろう。客がいる前でも問答無用でブチ切れる一番偉い人がこっちに来て「これから髪切っていきますからね~」と笑顔で私の前髪を撫でたのがちょっと怖かった。
・7月19日(火)
例の厩務員の人とお泊りをした。
aknynk.hatenablog.com
黒味噌ラーメンを食べたり、カップルシートでレイトショーを観るなどした。白石和彌監督・綾野剛主演の『日本で一番悪い奴ら』を観た。彼は電気グルーヴが好きなので、ピエール瀧を観にいこうとこれに決めたのでした。エロあり暴力ありでヤバい映画だった…。ホテルに戻って深夜バラエティを見ながら一緒に笑ったのが楽しかった。初めてパーマを褒められてうきうきする。
・7月20日(水)
同じ大学に通うバイト先の後輩と食事に行った。彼女は大学三年生なので、主に就職ついての相談を受けた。留学に行きたいが、留学から帰ってくる時期と就職活動解禁の時期がかぶってしまうので心配であるということだった。以前ラジオで「就職活動の時期が迫っていますが留学に行きたいと思っています。この感情は就職活動から逃避したいがゆえの欲求なのでしょうか?」という相談があったけれども、そこは切り離して考えていいと私は思う。留学したら留学先での経験が、留学しなかったらしなかったで何かしら経験がどこかしらで得られるわけだし、結局は自分次第じゃないと楽観的な考え方をしてしまうので大したアドバイスはできなかった。
彼女はたくさん兄弟がいて、上のお姉ちゃんはもう結婚しているという。母親も結婚が早く、私も早く結婚したいんですと言っていた。田舎は総じて結婚が早い。子を持たない家庭を批判のまなざしで見ているような気がする。そこまで急がなくていいんじゃないのか、なるようにしかならないんじゃないのかな、と思いつつも、将来結婚だの出産だのを経験する自分は、いまの自分と地続きであり、運命の出会いや運命の出産などは無いのだということを念頭において生活しなければならないなと思った。
・7月24日(日)
クリスマスイブ5ヶ月前の日曜日、友達とミュージカルを観にいった。
三浦春馬と小池徹平が主演の『キンキーブーツ』という作品。三浦春馬がドラァグクイーンを演じるというから非常に楽しみにしていた。大学一年のときに取っていたジェンダー論という授業でドラァグクイーンに関するレポートを提出したくらいドラァグが好きなんだけれども、実際めちゃくちゃにガタイのいい男がピンヒールを履きガンガン踊っているのを観たらもっと好きになってしまった。ソニン演じるローレンが小池徹平演じるチャーリーに惚れてしまったときに「どうして恋人がいる人は魅力的に見えるのかしら?」と歌うシーンがあって、先日初めて失恋を経験した私にとっては分かりすぎる曲だった。余裕があって優しい男は妻や恋人や安定した軸があるからこそ魅力的に見えてしまうんだよな、と痛感して握り締めた手のひらに爪が食い込みそうになった。「目の前の他人を受け入れること」「情熱で人を傷つけてはいけない」というすごくシンプルだけど難しいことを乗り越えて一歩前進する人々の話だった。音楽が最高。
・7月29日(金)
翌日が土用の丑の日ということで、厩務員の人と週末の神田に鰻を食べにいった。鰻だいすき。無限にたべたい。仕事終わりのサラリーマンが鰻を食べてる姿がちょっと面白かった。普通に帰るつもりだったのに、途中下車をした。終電がなくなってしまったので深夜ドライブをした。相変わらず夜景がきれいだし相変わらず彼は運転が上手。「一回気持ち悪くなるくらいに鰻たべたいよね」「ときどきちょっとの量だけ食べるからおいしさが際立つんだよ~」
・8月2日
3年ぶりに浴衣を着た。親友と花火を観にいった。久しく花火大会に行ってなかったので、ものすごい人ごみの中でものすごい花火を見た。打ちあがる花火を見て各々が「きれい~」「すご~い」とだいたい似通ったリアクションをし、一緒に拍手したりとなんとなく一体感のある光景がとても良かった。花火後に浴衣姿でハンバーガーを食べたのも楽しかった。「仕事でも研修でも接する人が違えば対応の仕方も違うし、その都度学べることがある苦じゃない」というようなことを言っていた親友がすごく大人に見えた。
・8月3日(水)
小学校からの友達とご飯に行った。話す内容が男と就職と一人暮らしに関することばかりで、非常に20代前半特有の匂いを帯びてきた。同い年で、インターネットでの姿も現実での姿も見せている相手は彼女しかいない。なんでも話せる相手なので気負う必要もないし、定期的に彼女と会わないと死ぬんじゃないかと思う。彼女と話していて思ったのは、親から優しくされた経験がないがゆえ、今更他人から少し優しくされるだけで今までの自分が救われるし、初めて自分を肯定されるという経験にまだ身体が馴染んでいないということ。今は毎度新鮮な喜びを持って摂取している「優しさ」という劇薬にそのうち慣れてしまって、傲慢な態度を取るようにならないかがこの先の心配事のひとつなのでした。