まず理解に徹し、そして理解される(by『7つの習慣』)

先日『7つの習慣』について学ぶ機会があった。同名の本にはその名の通り、7つの習慣が紹介されており、ものすごく雑に書くと、自分が目指したい将来像から逆算して今自分がやるべき行動・習慣を明確化し日々を変えていこうみたいな内容だった。

いつか自分が死ぬとき あなたは誰からどのようなことを言われたいですか、そのように言われるためにはこれからどのように行動をしていく必要がありますか、行動を習慣化させるためには最初は意識的に行動をする必要があり、無意識でできるようになるところまで持っていく(習慣化させる)のが大事、みたいなことを教わった。

 

特に第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」というのが心に残っているので書いておこうと思う。

 

第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」

第5の習慣は、「共感によるコミュニケーションの習慣」として紹介されている。

 

人間にとって肉体の生存の次に大きな欲求は、心理的な生存である。

理解され、認められ、必要とされ、感謝されることである。

 

分かる。

 

ざっくり言うと、自分の考えを理解してもらいたい、分かってほしい、知ってほしいという気持ちの前に、とにかく相手を心から理解することや相手を尊重する態度が大事で、それによってその相手に大きな影響を及ぼすことができるという内容だった。

 

人間には返報性という、接する相手から受け取ったものと同じものを返す特徴があるらしく、まずは自分から相手を理解しよう、共感しようと思う「気持ち(意図)」と「スキル」を使っていくことが、結果的に自分に返ってくるので大事らしい。

 

じゃあその「気持ち(意図)」と「スキル」って何なの?というと、以下の通り。

  • 意図:理解しようとして聴くこと
  • スキル:気持ちと内容を反映させること

これじゃあ分からないよっていう感じだが、とにかくスキルやテクニックを乱用すればいいというわけではなく、根本に相手の話を理解したいと思うことが大事で、この思いとスキルを併せて使うことが、有効だという話だった。

 

スキルとは

一体スキルとは何なのか。

それは、

「あなたは(内容、トピック、言われていることの意味)について、(感情)と感じているんですね」

と、とにかく相手の言葉を復唱するというものだった。

 

相手が悲しんでいたり怒っていたり感情が高ぶっていたり興奮状態にあるときは、「あなたは(内容、トピック、言われていることの意味)について、(感情)と感じているんですね」と言う。

例えば「あなたは恋人にキツい物言いをされて、拒絶されたように感じてショックを受けているんだね」「あなたは夫にこのような態度を取られて、自分の大切なものを傷つけられたと思って悲しいと感じているんですね」という、相手が興奮状態にありながらも話してくれた内容をとにかく復唱する。逆に、興奮状態にある相手に対してどんな正論も伝えてもそれは意味を成さないという話でもあった。

 

感情が高ぶっていたり興奮状態にあるときというのは、テキストでは信号に喩えて「赤信号」と表現をされていた。「黄色信号」は少しずつ感情の高ぶりが落ち着き始めているとき、「青信号」は相手が落ち着いて感情的ではなく、課題が明確で相互の理解があるとき。この青信号のときに初めて対策や改善点を話し合える状態になる。

 

なお、青信号のときに復唱をすると相手を苛立たせることもあるのでよくないとも言っていた。それはそう。お互いに冷静なときに復唱されすぎてもうるせー!ってなる。あくまで赤信号、黄色信号のときには徹底的に相手を理解したいという気持ち(意図)を持った上で、復唱スキルを発動されたい。

 

自分から見ると、相手が悲しんでいる理由や怒っている理由が一目瞭然だとしても、赤信号のときにそれを言ってはならない。

「おまえが悲しんでいるのは〇〇だからだよ」と言っても、「あなたは分かってない、別に指摘は欲しくない、とにかく私の話を聞いてほしいんだ」と相手はおそらく言う。

相手のためを思って、相手の悲しみや怒りの元となるものを取り除いてあげようという全くの善意で発言をしても、その言葉は相手に届かない。

 

悲しみや怒りの元となるものを取り除くよりも前に、まず、相手の気持ちに寄り添い、相手の発言を復唱する。相手の話を理解したいという気持ち(意図)に加えて、この復唱するスキルを使うことが結果的に相手を尊重することに繋がるし、相手も「このひとは私を尊重してくれるんだな」と感じる。

 

この復唱するスキル、簡単かと思うだろうが意外と難しい。

 

例えば、「あなたは恋人にキツい物言いをされたんですね」と出来事を復唱するだけではダメだし、「あなたは拒絶されたように感じてショックを受けているんだね」と相手の感情だけを復唱するのもダメらしい。

「あなたは恋人にキツい物言いをされて、拒絶されたように感じてショックを受けているんだね」と、あくまで出来事と感情をセットで言う必要がある。

 

上記のように復唱の仕方を間違えたり、夫婦喧嘩をしていて互いに感情が高ぶっているときに、自分はすっと冷静になって咄嗟に復唱するモードに入れるか?というと結構難しいような気がするし、復唱するモードが解除されてついつい本音や正論が出てしまいそうになるときもあるだろう。

 

自然と復唱ができるようになるには訓練が必要で、最初はうまくできなかったとしても、何度も何度も繰り返して習慣化することが大事なのだという話だった。

 

さらに、出来事と感情を復唱されることによって、相手も客観的に感情を観察できる。

「あなたは恋人にキツい物言いをされて、拒絶されたように感じてショックを受けているんだね」

「あなたは夫にこのような態度を取られて、自分の大切なものを傷つけられたと思って悲しいと感じているんですね」

と言われることで、そう、私は拒絶されたように感じてショックだった、今自分の大切なものを傷つけられたと思って悲しいと感じている、と客観的に考えられるようになり、徐々に冷静さを取り戻していく。多分、この冷静さを取り戻していく過程で、「このひとには私の気持ちを話しても大丈夫なんだ」と安心を感じていくのだと私は思う。正論で殴ったりせず、判断をせず、私情を挟まず、自分の悲しみや怒りを受け止めてくれる、ただただ話を聞いてくれる、それだけで傷が癒えていく。傷が癒えた状態だからこそ、「次はこういうふうにしよう」と対処法や改善策を考えられるのだと思う。

 

徹底的な寄り添い、復唱を繰り返すことにより、相手が少しずつ赤信号から黄信号、青信号へと落ち着いていく。それからようやく次への改善の話ができる。

 

自叙伝的反応について

人間は、ついつい自叙伝的反応をしてしまいがちで、自叙伝的反応はNGだとも教わった。

自叙伝的反応とは以下の4つ。

  • 探る:自分の視点や意図から質問する
    • 例:「どうしてそんなことを言ったの?」「誰と一緒だったの」
  • 評価する:賛成したり反対したりする
    • 例:「すごくいいじゃないか」「過剰反応なんじゃない?」
  • 助言する:問題に対して助言やアドバイスをしたり、解決策を出す
    • 例:「…してみたらどう?」「こう考えてみたら?」
  • 解釈する:相手を解説しようとしたり、分析しようとする
    • 例:「あなたがいつもそうする理由はね…」「それは怒るべきだよ」

 

意外なのが、「評価する」の中で、相手の言葉を否定するのはいけないというのは直感的に分かるけれど、賛成することもいけないとのことだった。

 

私自身、相手が感情的になっていて私が落ち着いているときはヨシヨシと慰めて話を聞く態度を取っているつもりだけれど、ついつい相手の話が飛躍していたり、理論的におかしい点が目に付くとどうしてもこの自叙伝的反応や正論で殴ったりしがちなので、相手の気持ちが高ぶっているときは、どんなに話の理論が破綻していようが飛躍していようがとにかく相手の話を聞いて復唱しまくろうと思った。(本当にできるか?そんなこと…)

 

私は普段、パートナーから「そんな些細なことで傷つくの?」と言われまくっているが(過去の記事を参照してください)、これは自叙伝的反応の「評価する」に該当するのでパートナーは今すぐ自叙伝的反応をやめてほしい。

何らかの出来事があり傷ついている状態で、さらに「そんな些細なことで傷つくの?」というてめえの勝手な評価で傷ついているので、合計2回傷ついていることになる。本当にやめてほしい。もういっそブログ読んでほしい。

 

(この『7つの習慣』の「まず理解に徹し、そして理解される」についてはパートナーに共有して会話をしたが、今もなお「そんな些細なことで傷つくの?」と言われています。つらい。「私はパートナーの行動が全然改善されなくてつらいと感じているんだね」、です。)

 

でもまあ相手に求めるよりも前に、まずは自分がパートナーのことを理解しようという姿勢が大事らしいので、今日もめげずに夫婦間の問題課題表の整備をしてパートナーへの理解を深めていきたいと思います。

おわり