パートナーがASDかもしれない話

 

20歳年上のパートナーが、8月に仕事を辞めていきなり無職になった。

結婚して一年、彼は結婚記念日に仕事を辞めた。

 

それまで彼は正社員で働いていた。

彼には養育費の支払いが残り数年ある。貯金も多くはない。

月に休みが2~3日しかないような仕事で、拘束時間も長いため、ずっと限界だという話はしていたのだけれど、転職先を見つけないまま仕事を辞めた。

 

パートナーが仕事を辞めると雇い主に宣言して帰ってきたときに「夕方の空がちょっと赤くてきれいだなって久しぶりに思った」と言って帰ってきた。ずっと思い詰めていた表情が晴れやかになって、ああ、そんなにつらい思いをしていたのなら辞めていい、少し休んでほしい、転職活動は応援するよ、という気持ちでいた。

同時に、これまでの仕事が特殊だったがゆえに他で生かせるスキルがない40代が、本当に転職先なんて見つかるのか?という不安でいっぱいだった。

 

無職になってすぐのとき、私はとりあえず静観をしていた。が、今後の中長期的な見通しを立てないまま場当たり的に転職活動をしている様子を見て、たまらず口を出してしまった。「今後の計画を立ててほしい」と。

失業給付金をもらっている3ヶ月の間は自分が希望する求人に応募する。3ヶ月の間に仕事が決まらない場合は、短期のアルバイトをしながら、自分が希望しない求人でも応募をする。彼は自分でそう決めた。

 

また、彼の転職活動の姿勢が、「おれは選べる立場じゃない」「どこでもいいから内定がほしい」「年収が下がるので、家賃・光熱費等のフォローはしてほしい」といったスタンスで、私はその姿勢がすごく嫌で何度も何度も泣きながらキレてしまった。

正社員じゃなくて年収も下がるけど どうしてもこの仕事がやりたい、この会社で働きたい!という思いがあるのなら応援するし、お金のフォローも喜んでやるけど、そういう思いが全くないので「あなたはこれからどうやって生きていきたいの!?」と発狂した。私が発狂モードに入ってしまうと、彼はいつも申し訳なさそうに押し黙ってしまっていた。

「第一志望の会社じゃなくても、ちゃんと自分が納得のいく職場、働きたいと思える職場に出会えるといいね」と念押ししたけど、彼にはその言葉すらもしんどい様子だった。

 

ちゃんと今後の見通しを立ててほしいし、自分の意思をもって行動をしていってほしい。そうしないと生活が破綻するから。猫を飼いたいねって言っていたことも、大好きな温泉旅行も、全部できなくなってしまうかもしれないから、ちゃんと考えてほしい。そう思っていた。

 

何をするにも金が要る。

私は今度転職して年収が200万上がるけど、彼は年収が300万は下がるだろう。

お金のフォローをしてほしいと言うけど、私が転職決まらなかったらどうするつもりだったんだろう?私は上がった年収を自由に使える権利があったのに、彼のお金のフォローをしたり、私が何らかの理由で仕事を辞めてしまったときに、彼の収入だけでは立ち行かなくなるから、そのための貯金をしなくてはいけない。

なんで?私まだ20代だよ。なんで?むしろ私がフォローしてもらえて当然だと思ってた。私より20年長く生きているんだから。なんでなの?

 

何よりつらいのは、私が働くことをやめたら生活が立ち行かなくなるということ。

冗長化構成を取っておいて何かあったらフェイルオーバーするような、私が仕事を辞めたらパートナーの給料を頼れる状態であれば、精神的によかった。でも、養育費もあって年収が300万も下がるようなパートナーに頼ることは不可能。なので、私はこれからも心身共に健康で、ずっと働き続けなければならない。そんなことできる保証どこにもないのに、私が病気になってしまう可能性も、死んでしまう可能性もあるのに、なんで、なんで?という気持ちがある。

 

私が発狂している間に、彼の内定が決まった。

正社員じゃないけど、それでも仕事が決まってよかった。

私の転職先が決まったときよりもずっと嬉しかった。

嬉しかった、というか胸をなでおろすというか、ずっと底に落ちていく気持ちでいたから、ギリギリ生きて助かった、という気持ち。

 

ハローワークに通い、慣れないZoom面接もこなし、えらかったねと思う。

彼の内定が出た日、私は夜20~21時まで残業をしていたので、ケーキ屋さんはどこも閉まっていて、彼が好きなプリングルズのソルト&ビネガーと、彼が好きそうなレモンチーズケーキを買って帰った。

 

 

話はいきなり変わるけど、彼はこのまえ病院に行って、簡易的な検査をしたところASDの傾向があると分かった。グレーゾーンというのか、はっきりとASDというわけではないけど、そのような傾向はあるということらしい。

 

彼は、「おれは傷つかない」「おれそんなに悪いことした?」「いつまで言うんだよ」「そんな些細なことで怒られるんだったらおれもう何にも言えないよ」とよく言ってくる。

 

避妊をしてくれなくて、そのことを何度も何度も話したら「いつまで言うんだよ」と言われたこと。

「おれより嵐のことがすきなんだな!」と怒鳴られたこと。

私が松たか子のことが好きだと知りながら、「元から歌が下手なんじゃないの?」と言ってくること。

たくさん時間をかけて悩んだ末に購入したお気に入りのグラスを彼が割ったとき、彼は謝りながらもすごく簡単な手つきでAmazonで代替品を買ってくれたこと(お気に入りのグラスはもう割れて、彼が買ってくれたグラスがどんなに素敵なものであったとしても替えが利かないものだった)

デートのときに行こうと言っていた私のお気に入りの喫茶店のことを忘れ、それを指摘すると「そんなに悪いことをした?忘れてるのに気づいたらそのとき言えばいいじゃん」と言われたこと。

「頼まれてないのに勝手に飯を作って食べてほしいと相手に期待するのは傲慢であり、『食べる?』と聞いたときに『要らない』と言われてもおれは全然傷つかない」と言うこと。彼の理論は正しいなあと思いながらもやっぱり作ったら食べてほしい、美味しいって言ってもらいたい、と思ってしまう。(悲しい思いをするので、料理をする前に食べるかどうか確認を取ることでショックを和らげるよう対策を取っている)

 

パートナーにASDの傾向があると知ったとき、なるほどねと思った。

でも、ASDの傾向があろうとなかろうと、私だって傷ついた、とも思った。

ASDを免罪符のように使わないでほしい。

このことを、一番に私に理解をしてもらいたいなんて思わないでほしい。

私だって理解しようとはするよ、でも、私が理解を示すよりも前に、パートナー自身が自分の特性を理解して行動をしてほしいと思う。自分の特性を理解しないまま好き勝手振舞って、他人を傷つけて、そのくせ理解してほしいなんて、甘えんじゃねえよ。

 

彼は、すぐに自分のした行動を忘れてしまう。

「おれはいつも社会でうまくいかない、いつも失敗してしまう」と彼が言ったときに、具体的にどのようなエピソードがあるのかと私は質問した。彼はひとつもエピソードを挙げられなかった。ただただ、いつも何かがうまくいかない、生きづらい、失敗してしまうという痛みだけが残って、過去から何も学ばずに同じことを繰り返している。

すぐ忘れてしまうから「おれそんなに悪いことした?」と言ってくる。

無自覚に、無意識に、いとも簡単にそんな言葉をかけてくる。

そういった彼の行動に、私はすごく腹を立ててしまう。泣いてしまう。悲しくなってしまう。疲れてしまう。

 

改善したいのかしたくないのか、改善できなくとも改善しようとする姿勢があるのか。改善しないくせに痛みを感じてつらがって、それでいつも周りから優しくしてもらえると思うなよ。

自分の意思がない。私が怒るとダメで、私がニコニコしてるとOK、そういう私の感情をベースに彼は意思決定をしている。そうじゃなくて、自分がどうしたいのか、意思を持ってよ、と思うけどなぜだか彼には難しいみたい。私を嫌な気持ちにさせたくない、と言いながら、結局は自分が怒られたくないだけ。どんどん私の顔色を伺うようになっている。これは私がモラハラをしているということですか?

 

 

 

今日、初めてカサンドラ症候群という言葉を知った。

これだ、と思った。身に覚えがありすぎて、涙が出た。

「同じ思いをしているひとが私以外にもいるんだ」なんて安っぽい言葉じゃ全然足りなくて、なんか、もう言葉にならないくらい、泣いた。これだわ、と思った。

 

【大人の発達障害】ASDの夫を持つ妻が陥る「カサンドラ症候群」とは何か | mi-mollet NEWS FLASH Lifestyle | mi-mollet(ミモレ) | 明日の私へ、小さな一歩!(1/5)

 

夫たちは感情がないわけでも冷血なわけでもありません。ただ、困っている様子を見た時、妻の感情にフォーカスするのではなく、妻が苦しんでいるという問題を解決することに焦点を絞ってしまうのです。

 

私が彼の行動に傷つき怒り涙しているとき、「そんな思いをしてまで一緒にいる必要ないよ」と彼は言う。「おれなんかより一緒にいて楽なひとは他にいるよ」と言ってくる。そうじゃない。一緒にいたいから苦しいのに。しかも、離婚を私にゆだねようとしている、判断を私任せにしている。

 

その後の妻の呆れた反応から、夫は自分の失敗に気づきます。そして妻から非難を受けるのも仕方のないことと受け止めはするものの、彼らは否定的な評価をされることを極端に嫌います。これがまた妻の怒りを助長するのですが、これは、わからなかったこと、意図しなかったことを責められることに理不尽さを感じ、防衛的になってしまうからです。

 

彼はいつも、私の言葉をいつも否定されているように感じてしまう。

「あなたの言ってることは正しい、だけど…」といつも言ってくる。

否定されてる、と彼が感じているとき、私の言葉が届いていないのをしっかりと感じる。私が何を言っても届かない、私が言葉をかける意味なんてない、私が存在する意味なんてない、と私自身も負のループに入ってしまう。つらい。

 

カサンドラ症候群の人間が、パートナーのせいでおかしくなってる健常者なのかは再考の余地がある」というツイートを見かけて、そうだよね~と思った。私がもともとおかしくて、モラハラの気質があるから余計にこういう状態になっているのかもしれない。むしろ、私のほうが発達障害なのかもしれない。

 

これからASDについて理解をしていく必要がある。その過程で私自身なにか改善できる部分があるといいなと思う。とりあえず今日は、この一連の感情に、カサンドラ症候群という名前がついていることを知って安心した。

ふたりでカウンセリングに行く予定。ASDの本を図書館で借りてくる予定。つらいけど仕方がない。仕事も忙しくて疲れすぎてボーっとしていて2時間も動けなかったけど、這いつくばって生きていくしかない。つらい。