「飲みたくないなら飲まなくていいよ」
とパートナーに言われた。
ピルのことだ。大学生のときから飲み続けているピル。
妊娠するのが怖くて飲み続けていた。
私が大学生のときから彼には避妊をしてもらえないから、自分で避妊するしかなかった。
もともと私は子どもを産み育てたいと思っていない。
子どもはほしくないと思っていながら、もし妊娠してしまったら、
選択肢としては産み育てるか、中絶をするかの二択となる。
(それ以外の選択肢もあるけど、基本的には共に過ごすか、捨てるかの二択だと思う)
産み育てる、まず第一に経済的に厳しい。そして、私が親からされてきたように、私も子どもを蔑ろに扱う可能性がある。それがすごく怖い。ずっと憎んでいた親に、私もなってしまうことがものすごく怖い。だから子どもはつくらないと決めている。夫婦として、子どもをつくらないと決めている。
次に中絶をするという選択肢。子どもはほしくない、つくらないと決めていても、もし妊娠をして中絶することになったら、それはそれで私は苦しんで、つらくて泣くのだと思う。命を捨てることの罪悪感、という言葉では足りないくらいの強い感情、考えるだけで涙が出てくるし怖い。
妊娠をしたくない。だから私はピルを飲む。
「もうピル飲むのやめていい?」が怖くて言えない
— 赤埜よなか (@_ynk) 2020年10月25日
パートナーに ピル飲むのやめていい っていつか聞かなきゃいけない自分が情けないし どう向き合えばいいんだろうな
— 赤埜よなか (@_ynk) 2021年1月11日
本来ピルなんかパートナーの許可なくやめていいんだよ 許可ありきで飲み始めたんじゃないんだもん 自分の意思で始めたんだから 自分の意思でやめていい それで相手が避妊しない気ならセックスを拒否すればいいだけ 仮に妊娠したらふたりで考えればいいだけ でもどう考えても女性側の負担デカすぎない?
— 赤埜よなか (@_ynk) 2021年1月11日
本当はずっと、彼に「ピル飲むのやめていい?」って聞きたかった。
パートナーの許可なく自分の意思でピルを飲むことをやめても全然よかったはず。
それなのに怖くてピルを飲むことをやめられない。
もし、飲むことをやめて、彼が避妊をしてくれなかったら。
もし、避妊をしてくれたとして、それでも妊娠をしてしまったら。
6月頃に喧嘩をして、そのときに勢いで話した。
私はあなたに避妊をしてもらえたらいいなあってずっと思っていたこと。
血栓症のリスクのこと。
私だけが避妊して、あなたは避妊をしないことは、それは私が大学生のときから変わらない。最初からバランスが取れていないことのひとつであること。
私のことが大事だと言うくせに、避妊をしてくれないこと。
その矛盾に気がおかしくなりそうなときがあること。
でも、私は私の身体が無碍に扱われることを良しとしていた。
ただの穴に成り下がることを良しとしていた。
「ゴムつけて」「中出ししないで」「私はいつまでピルを飲み続ければいいの?」と言ったら嫌われるような気がして、離れて行ってしまうような気がして、怖くて何も言えなかった。無碍に扱われてもいいから、一緒にいてほしい。離れないでほしい。
そういうことを勢いで話した。
それから、もうセックスを全然してない。
6月に勢いで話したとき、彼は避妊する、と言ってくれていた。
期待した自分がいた、正直に言ってよかったと思った。
でも、無い。いいのだ。もう、別に私もそれで。
次、いつかセックスをするときに、彼は避妊をしてくれないかもしれないな、と思っている。それでいい。どうでもいい。
彼は言っていた。
最近、大事だとか愛しいという感情は増すばかりなのに性欲はわかない。
これまで、自分にとってのセックスは、ある種暴力的で支配的なものだった気がする
。女性を蹂躙することが快感だった、けど、今は違う。
そういうことを考えてくれるひとと結婚してよかったなあとそのとき思った。
昨夜、いろいろ話すうちにまたセックスとかピルの話になった。
いつまでピル飲まなきゃいけないんだろう、と彼に聞いた。聞けた。
彼は、生理痛とか生理周期のために飲んでいるのだと思っていたと言う。
違う。全然違う。
関係性を繋ぎとめるためだけに飲んでいた。便利な穴として。
ゴムは持っていて、でも、性欲がわかない。
そんなふうに思ってるって知らなかった。
飲みたくないなら飲まなくていいよ。
でも妊娠するのが怖い。
ゴムはつけるし中で射精しないようにする。
ずっと聞きたかったことを聞けてよかった。
私はいつまでピルを飲み続ければいいのかずっと分からなった。
閉経するまで飲み続けなければいけないのか?飲みたいわけでも飲みたくないわけでもないものを毎日夜眠る前に水で流し込む行為をこれからもずっと続けるのか?
ひとりで悩んでいたことを聞けてよかった。なんの解決にもなってないけど、私に答えをくれたので、それだけで一歩前進という気がした。