あたりまえに思うなってこと

『それでも、生きていく』を歯を食いしばりながら見ている。現状維持で生きていきたいひともいる、目を逸らさずにちゃんと向き合って痛みを感じて生きていきたいひともいる、私はどちらかというと後者のほうだ。大竹しのぶ満島ひかりの演技に揉まれる風間俊介が良すぎる。あのときこの仕事できてよかったねえと誰目線なのか分からない感想が出てくる。

 

 

 

 

風間俊介、『フライパンと拳銃』という2008年にG2が作・演出していた舞台に出ていたときから好きで、あの演技、風間俊介の演技としか言いようがないあれが好きで好きでたまらない。2008年、私は14歳だったらしい、14歳で長野博風間俊介と、富田靖子の演技を肉眼で見たことがある、肉声を聞いたことがある人生、本当によかった。私の今の豊かさを育んだひとつ、舞台で生の演技を感じること。

 

舞台。

『グリーンフィンガーズ』で平幹二朗を遠くから見たことのある人生、ペンギンプルペイルパイルズで奥菜恵、劇団AUNの公演で吉田鋼太郎大塚明夫と谷田歩、キンキーブーツの三浦春馬小池徹平。なんだかんだで様々な舞台を観てきて、また行きたい公演が出てきた。

 

坂元裕二 朗読劇2021 「忘れえぬ 忘れえぬ」、「初恋」と「不倫」公式サイト

 

はー、畳みかけてくる。花束からいつ恋、『問題のあるレストラン』ときて『それでも、生きていく』を観ているが、もう少し坂元裕二祭が続くらしい。去年は応募しても抽選が当たらなかった朗読会、今年は当たるといいのだけれど……。『不帰の初恋、海老名SA』『カラシニコフ不倫海峡』はすでに本で読んでいるけど、『忘れえぬ 忘れえぬ』は何も知らない。死にたいけど生きる希望がまた少しできたので生きることにした。

 

 

2/28(日)

坂元裕二のパートナーって森口瑤子なんだよ」とパートナーに話したら「誰それ?、もう寝るから」といきなり会話が終了してつらくなった。自分の興味のあることにしか反応せず、興味がなくなった途端にぶった切るの何?興味がない話題のとき私は興味あるふうに返してるのに何?ってなっちゃって夜ごはん何も食べないまま寝たらぼんやりエネルギー切れで立てない。ホットケーキ用の卵を買いにいきたい、マクドナルドを食べにいきたい、昨日行けなかった本屋によつばと!を買いに行きたい。

 

たんぽぽの川村さんのASMRを聴いておひるねし、午後13時、やっと起きて図書館と本屋とセブンイレブンマクドナルドに行った。部屋でメロンソーダをつくり飲みながらダブルチーズバーガーを食べる。録画していた『ボクらの時代』を見た。

 

夜ご飯は揚げ物パーティーをした。パートナーがいきなり揚げ物に目覚め、道具を一式揃えたのちカレーパンを作り出したのが先週のこと。今日は牡蠣とコロッケとペコロスを揚げた。本当はカジキも揚げたかったけれどお腹がいっぱいになり明日に持ち越しになった。揚げた牡蠣は少し縮んでいて、ふたりして かわいい〜〜〜!を連発した。デザートにアーモンドのアイスを食べた。

 

『それでも、生きていく』の最終回を観てふたりで泣いた。「凧、高いね」という子役の独特なセリフから、「ノモ、うまいね」という存在しないセリフを作り出してひたすらに笑った。シリアスなドラマだけど、笑えないシーンが無いわけではなくて、人々のぎこちないコミュニケーションの細部に愛を感じた。やっぱり時任三郎演じる加害者の父親が最初から最後までずっと狂ってて、大竹しのぶの目のきらきらと風吹ジュンの真っ黒な深い闇のような瞳が対照的で、瑛太満島ひかりが最後まで敬語で話しているのがよかったと思う。風間俊介が出ていたので放送当時も観ていたはずだけれど、日向夏の印象が強すぎて、他のことをあまり覚えていなかった。なので見返すことができてよかった。辻井伸行さんの、湖畔に静かに響くようなピアノがとてもすてきでした。

 

そのあと『若者たち2014』の1話を観て、「2014年の設定なのにこんなべらんめえな感じの人間って存在するの!?」「べらんめえだと戻りすぎ、江戸だから!」と話して、主人公のあまりの昭和っぷりにドン引きしてしまった。何も感情移入ができなかった。大声を出して、女は結婚!男は就職!と 周りの人間を自分の古臭い固定観念に従わせようとするくせに、自分は避妊せず しかも最初はお腹の子どもを認知しようともせず、そういうところに腹が立って、恥ずかしくて結構観ているのがつらかった。

また、満島ひかりは職場の年上男性と不倫をしている役柄で、「好きになっちゃったから仕方ないじゃん!」というようなセリフがあるのだけれど、私は「確かにそうだよなあ 好きになっちゃったら仕方ないよなあ」と思っていたら、パートナーは「好きになるのは仕方がないけど、行動しちゃうのがだめでしょ 離婚してからならまだしも 妻や子どもがどう思うか」と言っていてなるほどなーと思った。私は、パートナーと他の誰かが不倫することは想定していなくて、私が既婚者のことを好きになってしまう想像をしていた、だから好きになってしまったら仕方がないよなあと思ったけど、パートナーは不倫をされた側の立場に立っていた。

 

3/1(月)

昨日の夜はよつばと!の最新刊を読んだ。私の地元の海が出てきてうれしくてパートナーに報告した。頭を撫でてくれた。別に地元に愛着があるわけでもなんでもないけれど、あの精緻な絵で地元が描かれていることがとてもうれしかった。存在を他者から認められている感じがした。私の地元、この世に存在したんだ、って思った。

 

よつば、いよいよ小学生になるらしい。幼稚園や保育園には行かないまま、小学生になるようだが、それって現代日本でアリなのだろうか?よくわからない。ランドセルも絵の具もミキサーも買ってもらえて羨ましい。私はドラム式洗濯機と食洗機とお掃除ロボットとアクションカメラがほしいです。全てやり終えたあとの大人が欲しがるものシリーズ。本当はセボンスターが無限に欲しい、ミッフィーのぬいぐるみやリサとガスパールのぬいぐるみが欲しい。とりあえず休暇がほしい、ただ眠り続けるだけの休暇。

 

 

お昼すぎ、「おやつの時間ですよ」とパートナーがフレンチトーストを作ってくれた。我が家には料理ブームが少しだけ来ている。フレンチトースト、自分で作るよりパートナーに作ってもらうほうがおいしかった。人に作ってもらったほうがおいしい食べ物ってあるよね、オムライスとか、卵料理?

 

寒いのでパートナーにしがみつく日々。体温の高い彼がうらやましい。このあたたかさがいつか消えたら私はどうやって暖を取ればいいのだろう。あたたかさだけではない、手を近づければ眠っていても磁石のように反応して握ってくれる大きな手のひら。ジョジョの奇妙な冒険吉良吉影のように手首を切り落として、体温もそのままに保存しておきたい、ぬいぐるみのように寂しくなったら抱きつけるように、腕ごとでもいいから、なんなら生きているうちに型を取って、中にあずきでも入れておいてレンジでチンすればほかほかになるみたいな腕、保存できないですか?気持ち悪いですか?何ですか?

 

キスがしたくて顔を近づけても簡単に応えてくれないのが私のパートナー。もがもが動いているとふいにキスしてくれたり、こう、振り返りざまの一瞬の隙にしてくれたり、それで嬉しくてデレデレしながら笑うのが私の日常。

生活時間帯が異なるため、朝も昼も夜も一緒にごはんを食べることさえままならないけど、ひとまずは一年ほど共に生活ができてよかったなあと思っている。最近『マルコム&マリー』を観て、パートナーが「ありがたみを忘れるなってこと。あたりまえに思うなってこと」と話していた。