THE YELLOW MONKEYを観た

厩務員の伊勢谷はよく私を助手席に乗せて車を走らせてくれた。ときに煙草を吸いながら、ときに私の身体を触りながら、車の運転をしていた。伊勢谷友介に似た目鼻立ちがはっきりしている派手な顔の男だった。彼の大きな身長でも横になれるくらい大きくて広々とした車、釣りをするためだと言っていたがもっぱら女とセックスするための車だった。

 

2016年の9月ごろ、千葉の温泉に連れて行ってもらった際、My Little Loverの『白いカイト』やTHE YELLOW MONKEYの『LOVE LOVE SHOW』を伊勢谷はカーステレオから流していた。伊勢谷は当時35歳で私は22歳だったので、伊勢谷が好んで聞く音楽のその世代観みたいなものはあまりよく分からなかった。ただ私は他人が好んで聞く音楽や映画をとにかく記録して同じように摂取することが趣味なので、家に帰ったあとイエモンを調べてよく聞くようになった。高校生のころに一度『FOUR SEASONS』は聞いてはいたけどイマイチハマらなかったことを思い出す。

 

 

 

 

ということでイエモンの世界最速先行試聴会に参加するため日本武道館に行ってきた。桜が満開で、九段下を降りてから桜の門をくぐりつつ辿りついた武道館は、明日も仕事があることを一瞬忘れさせてくれた。

 

f:id:aknyonaka:20190329001347j:image

 

無料のイベントにたまたま当たっただけなので、「世界最速先行試聴会ってなんだよ?謎イベントすぎるだろ」っていうのが正直なところで、ただ大勢の知らない人間と狭くて硬い椅子に座ってCD音源を聞くイベントなんてすごくシュールだなと思っていた。

が、オープニングの映像が流れて真っ白の幕が落ちたと思ったら1曲目からすぐそこに4人がいた。初めてイエモンを見た。試聴会と言いつつガッツリライブやんけ、ライブなのかよ、武道館で無料でライブをやっていただけるのかよ、神か???????となった。

 

ネットでバズってたDHCの速攻ブルーベリーを飲んでおけばよかったが、飲まなくても高身長の4人が最高の演奏をしているのがよく見えて、バックの照明も本当に美しくて、『砂の塔』で真っ赤に染まったり、真っ白になったり、真っ黒になったり、シンプルな光の使い方が彼ら全員の美しさを際立たせている感じがしてとてもよかった。

 

いかんせん世界最速先行試聴会なので、全く聞いたことのない曲ばかりだったけれど、なんとなくで身体を動かしてノッているだけで楽しかった。ただただ試されていた。生で聞かされて何を感じるのか試されていた。曲名がわからない初めて聞く曲の中で、照明の光が曲の世界観を表しているのは明らかで、そのステージ全体を含めてとても美しかったなと思う。

 

いつもライブに行くとアーティストを凝視しては涙を流し、黄色い声で推しの名前を叫ぶというのが多かったけど、メンバーが見ている客席や、照明の様子、映像を撮っているスタッフなど目移りしながらその全体の雰囲気を楽しめたなという印象がある。

 

私は両生類の歌と膨らんで〜膨らんで〜バルンバルーンの歌が好きでした。早くアルバム聴きたい。

 

眞鍋かをりのことをたびたび思い出してニヤついた。吉井和哉、既婚者ってマジかよ。マジ?あの色気の人間が結婚して誰かと生活を営んでいるって現実の話なのかよ、すげーな。

 

 

近年ライブや演劇鑑賞からかなり離れていて、ライブ感をそこまで重視しなくなっていたけど、たまに行くのも良いものだと思った。何より「この仕事が終われば…!」と楽しみをもってして自分を延命させられる、終わったあとも余韻で少しは命が保つ、その感じがよかった。

 

今回は別に重い感情の話とかはなく、ただただイエモンを生でみられてよかったですという話。