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2017年3月23日

卒業した。大学からも、アルバイト先からも。

 

一か月前までは行く気のなかった卒業式は、袴を着たいという気持ちもなく友達も多くない私がわざわざ卒業式に出たところで何か記念になるのか疑問だったけど、付き添ってくれた親は私が卒業式に参加すること、留年もせず難なく単位を取得してストレートで卒業すること、そして自分が付き添っていいということ、娘の晴れ姿を見れるということを喜んでいたので、多分記念にはなったと思う。

卒業式というのは当事者よりも当事者の周りにいる人々のほうが感じるものは多いような気がする。

 

振袖を着ました。

 

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帯がすごい。

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「厳しく指導してくれた先生方、ここまで育ててくれた保護者の皆さまありがとう」というような答辞を、1、2年のときの英語の授業で一緒だったクラスの真面目くんが任されており、なんだか遠いところにいるんだなきみは、と思った。

田舎から出てきた野暮ったい青年が、恋愛なんか知らない、勉強もイマイチなくせに真面目に頑張ってるような、授業終わりには教授のもとへ話を聞きに行っているような青年が、いま多くの卒業生や先生や保護者の前で堂々と答辞を読んでいる姿を見て私は大学で結局何もできなかったんじゃないかと思う。英語の授業を取らなくなってから取っている授業がたびたび重なることはあれど全然喋ることはなかった。すれ違っても何もしなかった。教職を取っていて教育実習に行って先生になりたいという夢を懸命に追いかけていることなんか知らなかった。

 

私は、確か3年の前期まではフル単で、卒業までに落とした単位は2つだけで、4年生前期の就活時期にはほぼ卒業要件単位を取得しており、ここ半年は授業を取らずひたすらにアルバイトと習い事をして過ごした。

 

大学の授業はジェンダー論と社会学民事訴訟法と民法が消費者法と会社法が面白かった。

生身の人間が社会で生きていることを実感できる法律がすごく好きだった。

 

「女が外で働いても男と比べて給与が少ないのであれば私的領域で家事をこなし、稼げる方の男が外で働いて、それで2人で生活すれば合理的ですよね」みたいなことをコメントシートに書いたらジェンダー論の教授から「あなたは結婚を合理的なものでしか見てませんね」みたいなこと言われたの思い出してる。恋愛工学の問題点について無理やり話してもらったのもよかった。

 

「人柄や好感度は気にしないで、むしろ言ってることに矛盾しないかってことのほうが大事なんですよ、嘘をつくってことは大変なことなんです」

 

「親と縁を切る 幸せになるための鉄則です」

 

「法律の条文を絶望的に理解できない学生さんがときどきいますが、それは人の悪意を知らないからなんだと私は思います。人間として幸せな環境に育ったから私はいいなと思う、頭が良い悪いではない、人の悪意を知っているかどうかです。」

 

大学で習った学問そのものよりも、教授の価値観、実感のこもった言葉の方が鮮明に覚えている。

 

1年生にも容赦しない厳しくて辛辣な民法の教授のゼミナールのテーマソングが中島みゆきの『ファイト!』だったときは本当に震えた。

「私は、『冷たい水の中をふるえながらのぼってゆけ』という歌詞が好きなんだ』と話しているその姿に胸打たれたのをよく覚えている。

 

大学在学中に学外の人によく会った。インターネットの人にも、会社の人にも、インターン先の人にも、芸能人にも、たくさんの大人とたくさんの子どもにも会った。

アルバイトは塾講師・メロンパンアイスクリーム屋の店員・郵便局の年賀状仕分け人・バレエの先生・不動産屋の営業・中華惣菜の店員とか色々バイトした。一昨年は掛け持ちをしていたので還付申告をしてお金が戻ってきたりした、通帳に税務署から振込みがありましたって書いてあるの面白くて笑った。

 

今日は、アルバイトの最終日で、今までどおりに働いていたら一番お世話になったパートさんが出勤日でもないのにプレゼントを渡しにきてくれて本当に嬉しかった。「また寂しくなったらお店に来てね、またお話しましょう」と言ってお別れをした。

アルバイト先で一番話が合って、愚痴を聞いてもらったパートさんも来てくれてまたプレゼントをもらった。その人には「でもやっぱり寂しいわ」「素敵な会社ライフを!あといい人見つけてね」って言われた。

店長には「シフト協力してくれてありがとね、本当助かった。オープニングから働いてくれてありがとう」と言われた。

 

もらったプレゼント

 

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多分、今までで一番働きやすくて居心地がよくてやりがいのある職場だったと思う。学生バイトもパートさんもてきぱきしてて、仕事を先回りしてやってくれる人もいればそうじゃない人もいたけど、それで結局バランスが取れていて、パートさんに色々愚痴を聞いてもらいながら、社員のダメなところを言い合いながらも楽しく働けたと思う。楽しかったなあ。時給もよくて家から近くてシフトも入りやすくて適度に仕事がハードで、売上目標という数字が目の前にあると頑張ろうと思える自分がいるということを発見できたこと、よかったと思う。

もともと老人嫌いを克服するために、老人がたくさん来そうなお店で働こうと決めたのが一昨年の9月ぐらい。それから他店で研修を受けてオープニングスタッフとして死ぬほど人が並んでいるレジを捌くのが本当に大変で、こりゃ時給に見合う仕事をしなきゃいけないんだなとひどく納得した。この高時給はこのハードな仕事の上に成り立っているんだなと思った。

後輩の指導、自分ができる仕事の幅を増やすこと、お客さんに商品を買ってもらえるように言葉を選ぶこと、常連さんの顔を覚えて何をいつも買っていくのか覚えること、新商品に目がないお客さんと何気なく店先でお喋りするのがこんなにも楽しいこと。色々経験ができたのは本当によかった。

 

大学の卒業式よりもむしろアルバイトからの卒業のほうがなんだか感慨深くて、今まであんなに仲良くしていた職場の人たちとなかなか会えなくなるんだと思うと寂しくて、いつでも厨房で些細なことで笑ってたのに、それが終わるなんて少し信じられなくて悲しい。

 

あと数日で四月になるけど、社会人になる自覚なんて全然なくて、それでも踏ん張っていかなきゃならないので、ヤバイときには助けてね、という感じ。これから満員電車に乗って通勤しなくちゃならないのが一番の苦痛。頑張って生きたい。