外資系IT企業の社員

先日某大手外資系IT企業の社員さんと会った。
就職活動が終わり暇を持て余す私は、以下のサイトを利用して知らない人と会っている。
CoffeeMeeting[コーヒーミーティング]

Matcher(マッチャー)| OB訪問の新しい形

 

コーヒーミーティングはOB訪問と出会い系サイトの間という感じのサイトだが基本的にあんまり盛り上っていないのでいつ見ても常連の顔しか見えない。ただ、コーヒーミーティングというだけあって大抵の場合は喫茶店やレストランで食事をしながら話をできるのだと思うし(どこでどのようにして会うかは当事者にゆだねられているので「大抵の場合」とした)、おいしいご飯屋さんの開拓と知らない人と知らない話ができるというのが一石二鳥で気に入っている。

一方MatcherはOB訪問に特化しているので出会い系サイトのようになるかもしれないという恐れはコーヒーミーティングより大分薄れる。就活生とOBのどちらかに登録し、OBが提示する「就活相談に乗るので○○してください」という看板にワンクリックで会いたい人と会うことができる。双務的な感じが気に入っている。また、OBは所属している(所属していた)企業の名前を実名出して登録しているので、就活で話を聞きたい社員も見つけやすい。

先日会ったその社員さん(仮にMさんとしておく)とはコーヒーミーティングを通じて会ったのだけれど、「就活生はあんまりこういうOB訪問のためのツールってそもそも使わないよね」と言っていたし、私だって就活を終えてから使い始めているので、Matcherはともかくコーヒーミーティングはあんまり儲かってなさそう。アプリが使いにくすぎる。でも便利ではある。流行ってほしい。

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さて、私は基本的に顔も見たことがない、声も聞いたことがない、どんな人なのか知らないという完全の見知らぬ人と会うことや話すことが好きである。中学生のときからジャニオタのオフ会に参加したり電話したり年賀状を交換したりしていたし、高校のときはGRANRODEOのライブで隣の立見席にいた女の人に「すごい良いライブでしたね、よかったらメアド交換して感想メールしませんか?」みたいな気持ち悪いことを行ったこともある。mixiで知り合った男と付き合ったりした。一昨年は坂本真綾のライブに初めて行き、感動のあまり号泣していたら隣のかわいいお姉さんがティッシュを差し出してくれその優しさにまた涙し、次の年に一緒にライブに参加しすっかりお友達となったりもした。
ツイッターを通じて出会った人もたくさんいたし、北海道に旅行したときは北海道在住の子におすすめの土産物を教えてもらい、関西旅行のときは関西在住の人たちとご飯を食べた。恋愛もした。最近は定期的に会ってディズニーに行ったり遊びにいくお友達もいるし、大学に友達が全然いないのに全然さみしくない。オタクじゃないけどオフ会だけが出会いの場なわけではない。
初めて会った人にいきなりホテルにつれていかれそうになったこともあるし、出会い系サイトで気持ち悪い人に会ったこともあるけど、良くも悪くも簡単に知らない人と出会えるインターネットはとても便利だ。

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外資系IT企業の社員さんであるMさんは、子どもを溺愛していて休みの日に家族で行ったときのことを目を細めて話すので、こっちまで胸のあたりがぽかぽかになった。
「自分の顔そっくりの子どもが生意気なことを言うからむかつくんだよね」と言いながらも顔は笑っていて、愛しさしかなかった。「そんな生意気な子どもだけど甘えん坊だから今度のお泊り会が少し不安なんだ」と笑う顔が今思いだしても泣きそうになるくらい素敵だった。Mさんはあんまり一人称を使わないことに少し経ってから気づいた。「僕」とも「俺」とも言わない。嫌味なく自分の話をして、開示して、惹き付けるところが大変に魅力的だった。話すことも脚色されてない、素朴な日常のおもしろいことを淡々と話すので聞いてて何より癒された。「平日に水族館に行ったら遠足で来た大勢の小学生たちとバッティングしちゃって全然近くで見られなかったんだ」とか「東京タワーの水族館は暗いからやめておけ」とか、「上野動物園にはあんまり行きたくない」とか鴨川シーワールドに行きかけて断念した話とか、聞いてて「それはすごいですね!」って褒めなきゃいけないようなビッグイベントの話をしないので話していてとても落ち着けた。あとは「あなたはどうなんですか?」って聞いてこない、適切な距離を保って接してくれるのも嬉しかった。


こうやって人と会って話すと、その人の特徴みたいなのがつかめるし、自分の立ち居振る舞いの反省になるのでとても勉強になる。私は「そうですよねそうですよね!」とか同じ言葉を二回繰り返しすぎているような気がする。バカっぽいので直したい。