厩務員の伊勢谷はよく私を助手席に乗せて車を走らせてくれた。ときに煙草を吸いながら、ときに私の身体を触りながら、車の運転をしていた。伊勢谷友介に似た目鼻立ちがはっきりしている派手な顔の男だった。彼の大きな身長でも横になれるくらい大きくて広々とした車、釣りをするためだと言っていたがもっぱら女とセックスするための車だった。
2016年の9月ごろ、千葉の温泉に連れて行ってもらった際、My Little Loverの『白いカイト』やTHE YELLOW MONKEYの『LOVE LOVE SHOW』を伊勢谷はカーステレオから流していた。伊勢谷は当時35歳で私は22歳だったので、伊勢谷が好んで聞く音楽のその世代観みたいなものはあまりよく分からなかった。ただ私は他人が好んで聞く音楽や映画をとにかく記録して同じように摂取することが趣味なので、家に帰ったあとイエモンを調べてよく聞くようになった。高校生のころに一度『FOUR SEASONS』は聞いてはいたけどイマイチハマらなかったことを思い出す。
車の中でMy Little Loverの白いカイトを流してくれたことずっと忘れないんだろうな
— 赤埜よなか (@_ynk) 2016年9月30日
「このまえ車で流してたやつ歌って!」
— 赤埜よなか (@_ynk) 2016年9月19日
「LOVE LOVE SHOW?」
「そう!」
ってカラオケで話したあとに ラブラブしよう〜って歌詞のところで目がバッチリ合ってしまったの今思い出しても赤面する
イエモン聴くとどう考えても車の中でイエモン流して上機嫌だった男のこと思い出して苦しくなる
— 赤埜よなか (@_ynk) 2017年6月5日
ということでイエモンの世界最速先行試聴会に参加するため日本武道館に行ってきた。桜が満開で、九段下を降りてから桜の門をくぐりつつ辿りついた武道館は、明日も仕事があることを一瞬忘れさせてくれた。
無料のイベントにたまたま当たっただけなので、「世界最速先行試聴会ってなんだよ?謎イベントすぎるだろ」っていうのが正直なところで、ただ大勢の知らない人間と狭くて硬い椅子に座ってCD音源を聞くイベントなんてすごくシュールだなと思っていた。
が、オープニングの映像が流れて真っ白の幕が落ちたと思ったら1曲目からすぐそこに4人がいた。初めてイエモンを見た。試聴会と言いつつガッツリライブやんけ、ライブなのかよ、武道館で無料でライブをやっていただけるのかよ、神か???????となった。
ネットでバズってたDHCの速攻ブルーベリーを飲んでおけばよかったが、飲まなくても高身長の4人が最高の演奏をしているのがよく見えて、バックの照明も本当に美しくて、『砂の塔』で真っ赤に染まったり、真っ白になったり、真っ黒になったり、シンプルな光の使い方が彼ら全員の美しさを際立たせている感じがしてとてもよかった。
いかんせん世界最速先行試聴会なので、全く聞いたことのない曲ばかりだったけれど、なんとなくで身体を動かしてノッているだけで楽しかった。ただただ試されていた。生で聞かされて何を感じるのか試されていた。曲名がわからない初めて聞く曲の中で、照明の光が曲の世界観を表しているのは明らかで、そのステージ全体を含めてとても美しかったなと思う。
いつもライブに行くとアーティストを凝視しては涙を流し、黄色い声で推しの名前を叫ぶというのが多かったけど、メンバーが見ている客席や、照明の様子、映像を撮っているスタッフなど目移りしながらその全体の雰囲気を楽しめたなという印象がある。
私は両生類の歌と膨らんで〜膨らんで〜バルンバルーンの歌が好きでした。早くアルバム聴きたい。
吉井和哉、途中で歌詞間違えて「本当はMCなしで喋らずアルバムを聞いてもらおうと思ってたんですけど、正直しんどかったです!」とか「CDが良いとか言わないでね」とか素朴な発言がかわいくてなごむ #世界最速9999
— 赤埜よなか (@_ynk) 2019年3月28日
武道館、映像終わって幕が落ちてそしたらすぐそこに4人がいてウワッて鳥肌が立ったんだけど、あの吉井和哉でも家に帰ると真鍋かをりがいるのかと何度か想像してニヤニヤしてしまった
— 赤埜よなか (@_ynk) 2019年3月28日
眞鍋かをりのことをたびたび思い出してニヤついた。吉井和哉、既婚者ってマジかよ。マジ?あの色気の人間が結婚して誰かと生活を営んでいるって現実の話なのかよ、すげーな。
THE YELLOW MONKEY、『プライマル。』が最強と取り上げられがちだけど、『楽園』も『MY WINDING ROAD』も個人的に好きで、「いつか僕らも大人になり老けてゆく」と歌いながら将来や愛されることに対する諦めはそれほど大きくなく、もう一回希望を持って誰かを愛してみようみたいなピュア要素がラブい
— 赤埜よなか (@_ynk) 2019年3月30日
吉井和哉さん、めちゃくちゃピュアに眞鍋かをりさんのことを愛してるのかと思うと狂おしいほど好きになってしまう
— 赤埜よなか (@_ynk) 2019年3月30日
世界最速先行試聴会という名のただの最高ライブを武道館でやってのけるイエモン、私にとって初めて生で見るイエモンだったわけですが、ヒーセのベースが こう いつも音源とかテレビで聴いてるより大きく聴こえて 最高だった
— 赤埜よなか (@_ynk) 2019年3月30日
イエモンで『プライマル。』が好きって言うやつって、大してディズニー好きでもないのに「お酒飲めるし景色楽しめるからディズニーシーのほうが好き」って言うやつと同じなのでは?みたいな気持ちになってきた
— 赤埜よなか (@_ynk) 2019年3月30日
眞鍋かをりさんに対して嫉妬する気持ちは微塵もないけど吉井和哉さんにはめちゃくちゃに抱かれたいです
— 赤埜よなか (@_ynk) 2019年3月30日
イエモンの日本武道館のあと、news zeroがライブの舞台裏を放送してたんだけど、うまく弾けなかった部分があるのかエマが「くそー!!」っ言ってて、それに対して吉井和哉が「えーめっちゃ良かったじゃ〜ん!」ってエマの肩を抱いてて 「アッそんな社会性のあるコミュニケーションをするんだ」と思った
— 赤埜よなか (@_ynk) 2019年3月30日
近年ライブや演劇鑑賞からかなり離れていて、ライブ感をそこまで重視しなくなっていたけど、たまに行くのも良いものだと思った。何より「この仕事が終われば…!」と楽しみをもってして自分を延命させられる、終わったあとも余韻で少しは命が保つ、その感じがよかった。
今回は別に重い感情の話とかはなく、ただただイエモンを生でみられてよかったですという話。